この本を読んだせいで、わたし、この4・5日意気さかんである。早く読めばよかった。去年の暮れに出た本で、読まなきゃと思っているうちに1年過ぎた。というのは、あまりレジナルド・ヒルを読み慣れていないからだと思う。ミステリーファンの知り合いとよく話をしていたころは読まなあかんという強迫観念みたいなものがあったが、最近はぜんぜんそういう人とのつき合いがない。VFCの会員でミステリファンという人は少なく、なぜか文学少女が多い。サラ・パレツキーをミステリーとして読んでいるわけじゃないもんね。
レジナルド・ヒルの本はまだ3冊くらいしか読んでいない。だから3人の警察官を「ご存じ、“聖三位一体”の男たち」と言われてもピンとこない。この本を読みたいと思ったのはタイトルに惹かれてのことだ。なにを書いてあるのだろうと思ったのだが、バスコー主任警部の妻エリーの物語と知ってなるほどと思った。ミステリーファンにはエリーは評判が悪い。スペンサーの恋人スーザンとどっちかというくらいだもん。
エリーは昔から左翼でいろんな活動をしてきた人で、バスコーと知り合ったときは大学講師だったが、いまは作家となるべく原稿を出版社に送って返事を待っているところである。友人のダフネは金持ちで優雅に暮らしており保守派だが気の合う友人である。この関係がうらやましい。そして政治活動やボランティアを続けている老齢のフィーニー、男性中心の警察の中で自分の生きる道を探しているノヴェロ、謎の美人銀行員ケリー、その他いろいろな女性が登場する。
発端はエリーを誘拐しようと家に男女がやってくるが、エリーが気づき男の股間をヒザ蹴りして追い返す。翌日家の側をうろついている男を、やってきたダフネが自分もやっつけようとして、顔面にケガをする。それから後はあれよあれよとばかり北アイルランドのテロリスト、国家公安部の切れ者と登場し、長い物語となる。
エリーと娘は危険を避けて警官のノヴェロ付きでダフネの別荘に行く。その別荘の側にはフィーニーが住んでいて、着いた日にその他の女性とともに夕食となる。それまで気の合わなかった女性たちが、話し合ううちに友情が生まれていく。そこで大事件が起こるのだが、女性たちはそれぞれの能力で生き延びるために動く。ここがすごい。長い物語を読んできて最後にこの結末に達してほっとするやら、女性の連帯がうらやましいやらである。(ハヤカワミステリ1800円+税)