6月に吉屋信子の「暁の聖歌」について書いたのを、ゆまに書房の編集者が読者の反応を調べようと検索して読んだとメールをくださった。わたしが堅い出版社がなぜ吉屋信子なのかと書いたことにも返事をしてくださった。編集部にファンがいらっしゃるからだそうである。そのファンというのはきっとメールをくださった人なのでしょう。
続いて出版される本を“図書館で借りて”読んでほしいとのことで、今日は「返らぬ日」を図書館で探してまいりました。続いて出る「紅雀」はちゃんと買いますので…。
わたしが吉屋信子の本で好きなのは、一番が「紅雀」、二番が「屋根裏の二処女」である。「紅雀」は新書版の本をずいぶん前に買って持っているのだが、ゆまに社から中原淳一装幀のきれいな本が出たら買って大切に持っていたいと思う。
「返らぬ日」を読んだのははじめてである。彌生とかつみ、二人の処女(おとめ)の愛の物語である。大商人の妾腹の娘として生まれた彌生と、上海生まれのかつみはカソリック系の女学校の寄宿舎で出会う。この時代はたいていの少女は女学校を出ると嫁にいくことになる。それで女学校の卒業式は涙、涙なのだそうだ。だからこそ、二人の愛は燃え上がる。めちゃくちゃ“耽美”で、いま流行りの“やおい”よりもすごくて圧倒された。なんかもう、文章がすごい美文でね。解説ではそれをバロック(語源=ゆがんだ真珠)と表現している。
表紙と挟み込まれた中原淳一の絵がすてきで、やっぱり買って持っていようかな。