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ローラ・リップマン「ストレンジ・シティ」

ボルチモアの女性探偵テス・モナハンもの6作目である。最初からずっと読んできたのは、女性探偵ということのほかに、表紙のイラストが大好きなさべあのまだからというエエカゲンな理由だった。いままでの5作まではどこかなじめない感じがあったのだが、この作品でいっきょ好きな探偵の中に入れました。
テスは犬のエスケイとはじめて手に入れた一軒家に暮らしている。と言っても廃屋同然で手をかけなければ住めないので、恋人のクロウは別のアパートにいるのだが、毎日来てなにかしている。家に帰るとクロウが「今日はどうだった?」と言うアツアツの生活である。
ボルチモアはエドガー・アラン・ポーの家や墓のある街である。1月19日のポーの誕生日には、マントにくるまった正体不明の人物が毎年欠かさず3本の赤いバラとボトル半分のコニャックを墓前に捧げに行く。この話は実話で、いまもボルチモアの人々はその人物をそっと見守っているそうである。
この墓参者の正体をあばいてほしいとテスの許へ依頼人がやってきた。依頼人は古物商で買い付けした装飾品が贋物だったのを、その墓参者につかまされたと言う。うさんくさい話なのでテスは依頼を断るが、クロウに墓参者を守るべきだと言われて、ポーの誕生日に墓地へいっしょに出かけて行く。
ポーの遺品や本が命より大事な人間が犯した殺人事件をテスが解き明かす。最後に墓参者と会うところが楽しい。彼はもう年なのでそろそろ後継者を探したいと思っている。そして「きみといっしょにいた若者だけど、彼なら─」とテスに聞くのである。「だめ!」と即答するテス。クロウはきっと毎年欠かさず出かけるだろうし、そしたら二人の生活にポーの墓が根を下ろしてしまうだろう。必死で断るテスがおかしい。
複雑なストーリーの他に、ハメットを意識した小道具、実在の人物から想定した墓参者の姿、ポー礼讃者の生態などとても楽しめた。(ハヤカワ文庫 880円+税)

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2003年12月01日 11:50に投稿されたエントリーのページです。

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