今日の夕刊にイングリッド・チューリンの訃報があった。74歳だったとのこと。最近彼女のことをよく思い出していたので、なんか因縁みたいなものを感じた。
思い出していたのは、「野いちご」(1957 イングマール・ベルイマン)の1シーンである。栄誉ある賞をもらった老学者が、息子夫婦の運転する車で受賞のために移動中、若いころの自分と亡き妻の姿を野原で見るところだ。この映画をはじめて見たとき、わたしは息子の嫁(イングリッド・チューリン)の立場で老教授を眺めていた。いまは老教授の年齢に近づいているという感慨なのである。そのついでに息子の嫁になっていた彼女の知的な美貌を思い出していたのだった。美貌と一言で言ってしまうともったいない。あんな個性的な顔の人はちょっといない。
今夜はイングリッド・チューリンが若くて美しかったときの映画を次々に思い出していた。そんなにたくさん見たわけではないが、ベルイマンの映画で重要な役をしていたから、印象が深いのであろう。つぎに見た「沈黙」(1962)、後々見た「魔術師」(1958)、その他に「戦争が終わった」(1965 アラン・レネ)を見ている。ずっと後になって「地獄に堕ちた勇者ども」(1969 ルキノ・ヴィスコンティ)を見た。誇り高い女性を演じたらだれも真似できないものがあった。
なにがいちばん良かったかと言えば「野いちご」で、いちばん印象に残っているのが「地獄に堕ちた勇者ども」である。