今年になってはじめて行った田辺寄席。12時40分に着いて席をとり、本を読んでいるうちに、どんどん人が入って満席になり、1時20分に浴衣姿の桂文太さんの開口0番「いい加減」がはじまった。
林家市楼「青空散髪」は天王寺公園の散髪屋に行く話。今年撤去させられた青空カラオケを思い出したが、この噺は中川桂さんの解説によると、先代染語楼作で市楼さんまで三代続くお家芸だそうである。
桂米左「持参金」は借金をめぐって話がめぐる。借金返済のためにお腹が大きい女性を持参金目当てに嫁にすることにした男。下女に手をつけてしまいお金をつけて縁を切ろうとする男。
笑福亭遊喬「禁酒関所」はサムライがいたころの噺。酒が入ってのケンカで二人の家来を亡くした殿様が酒禁止令を出す。その裏で酒を飲みたいサムライは、関所をうまく通って酒を運ぶように命令する。酒をお菓子(水カステラ)に見せたり油に見せたりたんへん。
桂文太「代脈」は住み込みの医者の卵が先生の代診に行かされる。先生に言われたとおりに振る舞おうとする若い医者のアホさ加減がおもしろい。文太さんのブルーグレイの着物に紺の帯がよくあってステキだった。
桂米左「百年目」は先日の朝日新聞に大きく出ていたが、桂米朝に入門して20年記念の独演会で演じた大ネタ。米朝も「一番難しい落語」と言っているそうだ。春の落語である。マジメ一方で知られる番頭さんが、店を抜け出して花見で騒いでいるところを、旦那さんが知り合いと語りながら通りかかる。番頭さんは旦那さんと気がつかず、ちょっかいを出してしまった後で気がつく。これで終わりだと観念した番頭さんに、翌日、旦那さんが、お前が店にきたのは十二のときやったなと語りかける。花見の宴の華やかさ、一転ナイショの遊びがばれた間の悪さ、そして主従の愛が通い合うところもよく、よい噺だった。