和歌山の友人に蕗がおいしかったと伝えたら、柔らかいうちにもう一度と、またたくさんの蕗と野蒜をぎっしりと箱に詰めて送ってくれた。それはそれはたくさんあったので、昨日はその始末に大わらわであった。大鍋で蕗の葉をちりめんじゃこと佃煮ふうに炊いたのを、美容院の2人にもお裾分けして、保存しておく分を冷蔵庫にしまい込んだ。今日は茎を茹でて、鰹節の出汁であっさりと炊いたのを食べた。残りは長時間しっかりと醤油で炊いてキャラブキにした。これもご飯がもう一杯余分に食べられるうまさになった。
台所に長時間立って、土のついた野菜をいじりつつ「まるで今日はおはるやわ」とつぶやいた。「剣客商売」のおはるは台所にいることが多い。いつもこうして土のついた野菜の始末をし、生きている泥鰌や鯉を料理し、絞めた鶏をさばいて煮炊きし、食卓に乗せる。我が家が頼んでいるポランの宅配の野菜は昔は土がついたものが多かったが、最近はよく洗ってある。便利だけど少し淋しい。たまに土がついたものに触るとうれしくなる。
さて、「剣客商売」も9冊目まできた。「小さな茄子二つ」は新宿の小さな道場で、近辺の農家の若者たちに剣道を教えている孫六が主役である。元の師である秋山小兵衛に、月に一度は江戸に出て、大治郎のところへ泊まって指導を受けるように言われているのに、さぼってしまう。事件に巻き込まれて、小兵衛に救われるのだが、最後にこう言われる。「・・・その年齢(とし)をして、まだまだ剣術にしがみついていたいのなら、それ相応に一歩ずつでも先へすすまなくては、生きる甲斐もないではないか。な、そうだろう。ちがうか…?」なんかわたし自身に言われているようで身がひきしまる。
40歳年の離れた夫婦の小兵衛とおはるのごく自然なやりとりが、このシリーズを読む楽しみを格別なものにしている。年の差は「シャーロック・ホームズの愛弟子」のホームズとメアリ・ラッセルと同じくらいかな。ホームズ/ラッセル組は3人の子どもに恵まれるが、小兵衛/おはる組は子どもはいない。
本日の献立:日本酒(呉春本醸造)、のびるの酢みそ、蕗の炊いたん、厚揚げとさつま揚げを焼いたのに土生姜と木の芽つき、ごはん、みそ汁(まいたけ)、塩鮭、蕗の葉の佃煮、胡瓜の浅漬け、焙じ番茶、羊羹(夜の梅)。