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夏目漱石「虞美人草」

何年かごとに突然、夏目漱石を読みたくなる。先日BBSで少女時代に愛読した本のことを聞かれて、いつもの通り「小公女」や「高慢と偏見」などと答えたのだが、夏目漱石の名前もつけ加えた。おすすめの本と聞かれて漱石と言うと、中学か高校のときに読んだことがあると答えがもどってくる。こんなに大人を夢中にさせる本なのにもったいない話である。
中でも好きなのは「明暗」で、未完の作品だが、すばらしい続編を水村美苗が書いているので、読むときは両方つなげて読む。次に好きと言われると困ってしまう。いろんな作品を次に好きと言いたくなる。今週は仕事でばたついていたから、かえってこの本が読みたくなったのかもしれない。流れるような美文が大好きな「虞美人草」である。主人公の藤尾を紹介する第2章の冒頭の美文がすごい。ああ、これだと懐かしくなる。その一文の終わりが「女は紫色の着物を着ている。」である。で、わたしも紫色の着物が欲しくて、姉にお下がりをもらったことがあったのだが、もちろん「丸顔に愁い少なし」で似合わなかった。この丸顔に・・・のくだりもこの本のもう一人の女性、糸子を形容した言葉だったと思い出した。
財産が長男にいく時代の話だからなりたつ物語なのだが、甲野さんは黙っていても長男で相続人である。後妻の母とその娘の藤尾は、甲野さんを排除して財産をもらい受けるように仕向け、藤尾と小野さんの結婚をもくろむ。小野さんは貧困階級出身ながら頭が良く努力してのしあがってきたが、かつて世話になった人を裏切ろうとする卑しい男である。お金があるほうが余裕があって正義なんて、なんかなあって思いながらも、甲野さんと宗近くんに肩入れしてしまうんだよね。

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2004年07月31日 14:30に投稿されたエントリーのページです。

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