阿弥陀池筋を歩いていたら、大きなビルの前の植え込みの灌木の間から、ヤブガラシがにゅっと伸びている。なつかしくて立ち止まって見ていた。最近ヤブガラシを見ないなと思っていたところである。繁殖力の強い、たいへん困った雑草らしいが、赤いちっちゃな花がちょこちょこ咲いているのが可愛らしくて好きだし、郷愁を誘われる。
わたしは5歳で東京から大阪に移住したのだが、東京の思い出と言うと、まずいちばんにヤブガラシが伸びた空き地が目に浮かぶ。その他は遠くに富士山が見える坂道、洗濯物がひるがえっていた狭い庭、引っ越しの支度がすんで汽車に乗る前に入った蕎麦屋くらいかな。だからと言って東京に思い入れを持っているわけでなく、まったくの大阪人だと思っている。たまにこうしてヤブガラシを見て思い出すというだけのことである。