マーシャ・マラー(ミュラー)の本をはじめて読んだのはずいぶん前のことだ。「人形の夜 シャロン探偵物語」(1977 小泉貴美子訳 講談社文庫 1980)は、サラ・パレツキーに先立つ女性探偵小説だった。この本が出てどのくらい経ったときか、雑誌「 anan 」に探偵特集があり、モデルがピストルを持ったりのそれらしいポーズをとっていた。男性3人ほどの中に赤いスーツを着たカッコいい女性がいた。それが、シャロン・マコーンだったのだ。すぐに本を買って読んだのだが、そのときどう思ったか覚えていない。でも捨てずにちゃんとしまってあって、いまは絶版になった本だから持っているのが自慢である。(マーシャ・マラーについては、当サイトのSARA PARETSKY SITE 広辻万起「パレツキーズ・アイ」をお読みください)
さて、「沈黙の叫び」は今年3月に発行されたのを買ったのだが、後で読もうとちょっと本棚に置いたのをころっと忘れていた。本屋からの帰りに喫茶店で解説と最初のほうを読んだのだが、これがシャロンのルーツ探しのようなんですね。父親が亡くなって遺品を整理していたら、シャロンの養子縁組申請書が出てきたというのが始まりである。シャロンの家族にはショショニ・インディアンの血が1/8混じっているのだが、他のきょうだいに比べてシャロンにはネイティブ・アメリカンの特徴が容貌に色濃く出ているので、みんなに“先祖帰り”と呼ばれていた。シャロンはやっぱりもらわれっ子だから違っていたんだと思い、そこで自分のルーツを探ろう、というところまで読んでいた。
私は子どものとき「橋の下から拾ってきた子」とよく言われたが、それだって一種の恐怖を感じていたのに、もし大人になってから戸籍謄本をとったときに、養子と知ったらどんな気持ちになるだろう。そしてシャロンのように、母親に「自分たちの子供以上におまえに愛情を注いだわ」と言われたらなんとしよう。真実を知ろうと調査するしかないよね。