さっき若い友人からとてもうれしいメールをもらった。わたしが田辺寄席のことを書いているのを読んで、地域の落語会に行ったんだって。二度行ったってことは、ちょっと行ってみようという気持ちではなく、ほんとに落語ファンになったんだと思う。演者・演目を書いてくれたのがわかるのは、わたしもけっこう落語通になったってことかな。
「開口0番・英華のいいたい放題」、グレーの濃淡の縞の着物に紺地の帯がとっても粋な英華さん。田辺寄席は客として聴いていたんだって。その時期が新聞では高校生だが、ほんとは幼稚園のときだったって笑わせてくれた。
「兵庫渡海鱶魅入」、銀杏色の着物姿が美しい桂文太さん。金比羅宮への参詣をすませ、清六と喜八が大阪へもどる船の中で、なぞかけをして楽しむ。人々の個性をそれぞれに演じて円熟の芸。田辺寄席に最初からかかわって30周年を迎えたいま、「私の人生そのものです」と記念誌に書かれた文太さんはほんとにうれしそうだった。
「茗荷宿」林家染弥さん、初々しさがあふれる若手。さびれたところにある旅籠に久しぶりに客が泊まり、大金を帳場に預ける。それを忘れさそうと茗荷を使った料理をいっぱい食べさせる。一度は忘れたものの取りに戻ってきたので、なーんやとなるが、結局は宿料をもらうのを忘れていた。わたしが忘れっぽいのも茗荷が好きなせい?
「黒雲のお辰」(講談)、旭堂南華さんは若くて明るい女性。正直者の百姓が大和から江戸にいる領主へ、百五十両という大金を届けるように命令される。江戸までは無事に着いたが、両国の花火の混雑の中で胴巻きを盗まれる。川へ飛び込もうとすると美しい女性(黒雲のお辰)がとめてお金をくれる。お辰は後に捕らえられて死罪のところを、大岡越前守に助けられ尼になって旅に出る。
「女道楽」は大阪には内海英華さん一人しかいないそうだ。はじめて知った言葉なので調べたら「女道楽」とは普通の人の芸事とはひと味違う芸であり、かといって玄人から見ると、粋やなぁというところがないと「道楽」ではないそうな。英華さんを見たらわかった。ほんとに粋。都々逸を聴いていたらお酒を飲みたくなった。
「皿屋敷」桂米八さん。寄席では独楽の芸で知られている人らしい。年に何度も落語はやらないそうだ。米朝師匠から十年前に出身地姫路にちなんで教えてもらった「皿屋敷」はお菊さんがお皿を数える怪談。歌舞伎なんかで知っている江戸の話かと思っていたが、各地に伝説が残っているそうだ。ここでは「播州皿屋敷」。最初は怖くてどうなるのかと思って聴いていたら、最後はどっと笑わせてくれた。