マルグリット・デュラスが81歳で亡くなるまでの16年間をいっしょに暮らした、若い愛人ヤン・アンドレアの存在は新聞や雑誌で読んで知っていた。どんな人なのか、よく知りたい気持ちはあったが、デュラスの本を熱愛した時期が終わっていたこともあってためらいがあった。先日ようやくビデオで「デュラス 愛の最終章」を見て気持ちが落ち着いた。ヤンはとても素敵な人だった。そしたらヤンが書いた本「デュラス、あなたは僕を(本当に)愛していたのですか。」を無性に読みたくなった。この本については先に書いてしまった(8月18日)が、映画のことは涼しくなってから書こうとおいてあった。
「デュラス 愛の最終章」(2001)は、監督ジョゼ・ダヤン、製作総指揮クリスティーヌ・ゴズラン、脚本ジョゼ・ダヤン/ジル・トーラン、撮影カロリーヌ・シャンプティエと女性の名前が多い。彼女らがジャンヌ・モローを中心にして創りあげた美しい映画である。
ジャンヌ・モローはデュラスになりきっていた。写真のデュラスの顔とそっくりだが、そんな些末なことでなく、大作家の誇りと不安に充ちた生活を全身で表現していた。表情も声もデュラスだった。5年間手紙を書き続けてきたヤンに会いに来るように言ったデュラスと、やってきたヤンの出合い。外に出たとき、ちょっと電話すると言ったヤンは相手にアパートを処分してくれと伝える。そしてそのまま二人の愛の生活がはじまる。ヤンはデュラスの口述をタイプし、生活に心を配る。それでもひどいケンカがあり家出があり、でも戻っていっしょに暮らす。いっしょに飲み歌いダンスをする。そしてデュラスは作品を仕上げる。
ヤン自身もすごくいい男だが、ヤンを演じるエーメリック・ドゥマリニーもとても美声年でよかった。ジャンヌ・モローに愛され愛する存在感はたいしたものだ。カフェでヤンがデュークボックスをかけデュラスを誘い踊るときのよかったこと!