分厚い本で上下2巻!よく読んだものだ。はじまりは今年のはじめにいただいたメールだった。当サイトを読んでくださったかたから、ミステリーは不案内だけど、自分の専門のビクトリア時代のウイルキー・コリンズ「白衣の女」は読んだとのこと。あら、まあ、わたしはウイルキー・コリンズは「ムーンストーン」(「月長石」という訳だった)しか読んでいない。しかも子どものときで多分抄訳だったはずだ。わたしの幼児期の記憶を掘り起こすと、コリンズ「月長石」とガストン・ルルー「黄色い部屋」が並んだ背表紙が目に浮かぶ。
今年中には「白衣の女」を読もうと決心したのだが、買おうかなと本屋で探したら2冊で5000円である。こりゃあかんわと図書館で借りたのが10月。なかなか読めなくて期間延長したが、まだ読めなくて返しに行ってまた借りて、期間延長してようやく読み終わった。ふーぅ!2カ月。明日は返却に行こう。
ウイルキー・コリンズ(1824〜1889)はディケンズと同時代の人で、二人はいっしょに旅をしたりしてとても親密だったそうだ。そして「ムーンストーン」は「最初にして最長、最良の探偵小説」とT・S・エリオットが書いていると本書解説にある。その割には忘れられた作家みたいなところがあるように思うんだけど、どうなのかしら。
わたしが知っている小説や映画では「ジェイン・エア」とか「フランス中尉の女」など女性が家庭教師になるのばかりだった。ここでは貧しい男性のウォールター・ハートライトが絵画の家庭教師となって、ロンドンからカンバーランドのリマリッジ屋敷へおもむく。その途中で出会ったのが白衣の女性で、精神病院から脱走してロンドンへ行こうとしている。よい出だしだ。屋敷に着くと主人は病身で傲慢な男だが、ウォールターを気に入って娘の教師として雇う。屋敷には二人の娘がいた。姉のマリアンは死んだ母親の最初の夫の子で醜くいし遺産もないが、頭脳明晰で性格がよくて、妹のことを心から思っている。ウォールターは美しい妹フェアリー嬢と相思相愛になってしまうわけだが、もちろん階級の壁があるのでただ思っているだけである。娘に縁談があったときに彼は屋敷を去ってロンドンに戻る。
さてそれから・・・その結婚相手が悪いやつで、またその陰には輪をかけて悪いやつがついている。フェアリー嬢は死んだことにされて精神病院に入れられ、財産は悪人の手に渡る。マリアンは病院から妹を救い出して、ウォルターとともに妹の夫とその黒幕を叩きのめすべく調査をはじめる。フェアリー嬢の死体とされたのは、最初に出てきた白衣の女性だとわかる。
という具合に、探偵とか警察でなく被害者が危険をおかして証拠を集めにかけずりまわる。暗いロンドンの街や田舎の教会や、以前に縁のあった人などへ聞き込みに回るが、尾行がついてたいへんである。
その一切がこまごまといろいろな人の手記として語られるのだが、いやー長かったです。