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ノスタルジックな夜「マルセル・デュシャン展」とギムレット

美術館で長期やっている催しはそのうちと思っているうちに終わってしまうことが多い。今回は前売り券を買ったし早めに行こうと思っていたが、突然これから行こうということになった。毎日10時から17時までだが、金曜日だけは19時までとわかったので。
ぱっと出たのが5時半、タクシーが中之島の通りに出たら地下鉄工事で道が狭くてなかなか進まない。6時に着いたが、これなら阿弥陀池筋の住友病院付近で降りて歩いたほうが早かった。新しい美術館は地上が線のオブジェになっていて、会場は地下である。写真で見た感じでは広場にオブジェがあると思ったのだが、なんて狭いところにあるのとびっくり。さすが大阪、ビンボくさい。エスカレーターで降りて行くと常設の会場があり、また降りて行って廊下を歩いていくとデュシャン展の会場である。
マルセル・デュシャン、懐かしい名前である。若いころ、滝口修造の本で読んで憧れていた人、写真や図版でしか見たことのない作品に出会えたわけだ。すでにこういうところで展示されることで、デュシャンは権威になっていることはわかっていたけど、ほんとに実際見たらこんなもんかいなという感じだった。
だいたいがポスター、チラシ、地下鉄の中吊り広告で「泉=便器」が氾濫しているのだからどうしようもない。デュシャンが展覧会に便器を出したときはセンセーショナルだったからといって、いまさらなににでも使うというセンスがいやらしい。芸がないよ。でも、箱入りの作品の数点は欲しいくらい好きだし、「階段を降りる裸体」もいいと思った。マン・レイが写した写真もすごくオトコマエでよかった。
マルセル・デュシャン以後という展示で荒川修作の文字を並べた作品がよかったのが収穫。そしてシルヴィ・ブロシェールの10枚ほどの小さい絵とオブジェの展示がよかった。絵はみな同じ大きさで、素材は茶色い包装紙で、その上に描いたり、ハンコを押したりしてあるやつ。
藤本由起夫作のデュシャンの声が音楽にかぶさって聞こえる装置もあり、ビデオもありだったが、いちばんよかったことは空いていたこと。会社帰りのような一人で来ている人が多くて静かだった。国際美術館は金曜日の5時以降が狙い目!とにかく広くてゆったりと展示されていた。座るところがビデオの前しかなかったので、ベンチが一つくらい欲しかったな。足が疲れた。
なんやかんや言いながらも楽しい1時間を過ごした。
ここまで懐かしさを味わったから、今日はとことん懐かしくと、帰りには久しぶりに京町堀のブルースバー「メジャーカップ」で飲むことにした。時間が早くてまだお客がいなかったので、帽子をかぶった粋なマスターとジャズの話に花を咲かせた。LPレコードでマイルスの曲を聴きながら、ブルースからモダンジャズまでたくさんのジャズプレーヤーの話が出た。アート・ブレーキーとジャズメッセンジャーズの中に若き日のリー・モーガンとウェイン・ショーターがいたとか、コルトレーンとマイルスのこととか、クリント・イーストウッドのジャズ映画のこととか・・・。わたしは今夜はこれと思ってギムレットを頼んだ。目の前でつくってくれたギムレットは、生のライムを切ってしぼってくれたが、ローズのライムジュースでなくて少し残念。

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2004年11月12日 21:48に投稿されたエントリーのページです。

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