露の五郎師匠の噺はテレビでさえ聴いたことがないので、どんなかと楽しみで早くから出かけた。今日は文太さんのお嬢さん(中2)がお茶子さんとなって、めくりをめくったり座布団を裏返したりの動きがういういしく可愛かった。
今日の演目は、「開口0番・笑福亭代々」桂文太、「商売根問」露の吉次、「へっつい盗人」露の団六、「厩火事」桂文太、「小噺と百面相」露の団四郎、「中村仲蔵」露の五郎。
「笑福亭」の由来の話などの後に、松鶴を継ぐのはだれか名前をあげるから、これと思う人に拍手をという趣向。わたしは他の人を知らんので鶴瓶さんにしておいたけど、少なかったような。
「商売根問」は怠け者が説教される会話がおもしろかった。若い吉次さんが元気な声で「今お前はどこに居てるんや」「あんたの前に座ってますやないか」というような調子で延々と続く。
「へっつい盗人」は、アホな二人の男が宿替えの祝いにへっついを贈ることになったが、当然のことながらお金がないので盗みに行く。
文太さんの「厩火事」はすごくよかった。あちこちの家を廻り髪を結う仕事のおさきさんが、知り合いの旦那の所に行って、家にいる年下の亭主のグチを言う。旦那はモロコシの国の孔子の例をひいて説教をする。厩が火事になり孔子が大事にしていた白馬が死んだというのが、タイトル「厩火事」の元になっている。なんだかだと言っても結局亭主に惚れているおさきさんは家に帰る。素直に笑っておしまいにならないこわい噺。
中入りがあって、「小噺と百面相」は「向こうから坊さんがきた」「そう」という単純な小噺をたくさんしたあと、ちょっとした小道具を出して、大黒さん、えべっさん、宇宙人、中国娘などになってみせる。笑いまくった。
最後はお目当ての露の五郎師匠「中村仲蔵」である。仲蔵は歌舞伎役者で努力の甲斐あり名題に出世するが、その一回目の役が「忠臣蔵」五段目の斧定九郎に決まる。それまでの定九郎は山賊のような風体に決まっていたのでがっかりする。ある日、雨宿りに入ったそば屋で浪人者を見かけて、これとばかりにそのスタイルを取り入れ定九郎を演じて成功するという噺。五郎師匠は前置きなしですぐに噺に入り、斧定九郎という役柄そのままに暗い感じで演じきった。夏だからというんで裏をはがした黒紋付、破れた傘をさしていたがために濡れた着物の裾や袂をしぼるかたち、酒の飲み方、金の払い方。そば屋に入ってきた浪人者の描写がすごかった。終わったときはいつまでも続く拍手がなりやまなかった。