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「細雪」の映画

ここのところ毎日「細雪」のことを書いている。読み出したら引きずりこまれて、今日は忙しいのに最後までいってしまった。この前に読んだと思っていたが震災前だった。震災から10年経ったから10年以上読んでいなかったことになる。
覚えていると思っていたが、それは映画を見たからだろうか。市川崑監督の「細雪」(1983)では、四人姉妹はたしか幸子に佐久間良子がなっていたと思うがあとは覚えていない。そこへ吉永小百合が雪子だったとSさんがメールで教えてくださった。Sさんも吉永は健康的過ぎたと書いてはったが、わたしも雪子を演る柄ではないと思う。船場のいとはんで、洋画が好きで白葡萄酒をたしなむ雪子と全然違う人やった。そう言えば貞之助を演っていた石坂浩二もへんやった。「細雪」のパロディみたいな映画やったなぁ。絢爛たる桜ではじまるところだけがよかったけど。この時代に「細雪」を映画化したらこうなるのか。
子どものときに見た白黒映画はよかった。花井蘭子の鶴子、轟夕紀子の幸子、山根壽子の雪子、高峰秀子の妙子、と覚えているところが我ながらすごい。それでちょっと調べたら、1950年製作で監督が阿部豊で脚本が八住利雄だった。「細雪」に書かれているのは、太平洋戦争前の戦争の足音が聞こえる時代である。ひとときの平和な良き時代を生きる四姉妹の姿が華やぐ。それから日本は戦争に突入し敗北した。その数年後に製作された映画だから、滅びゆく階級への感傷のようなものがあった。大阪船場の黒光りした家に別れを告げる花井蘭子の鶴子の古風な物腰、華やかな芦屋マダムの轟夕紀子の幸子、山根壽子の雪子は地味だが存在感があった。高峰秀子の妙子が生き生きしていたのは、製作された戦後の時代を象徴していたからだろう。
雪子の絢爛たる花嫁衣装が飾られた部屋へ、妙子はひっそりとバーテンの三好のところへ持って行く荷物を引き取りに行く。しかし、雪子のそれからの暮らしが順風満帆ではないのを観客は知っている。そういうことを踏まえた脚本だったのが子どもの心にも感動を与えたのだろう。

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2004年12月31日 10:48に投稿されたエントリーのページです。

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