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川上弘美「光ってみえるもの、あれは」

図書館の返却本ワゴンをちらと見たときにあったので、ラッキーと思ってすぐに借りて来た。川上弘美の本を読むのはまだ3冊目である。読み出したら少女マンガみたいなふわっとしたおもしろさで、ちょっとのヒマにも読んですぐに読み終えた。しかし軽いようだけど内容は軽くない。
主人公の江戸翠くんは東京の高校生で、家事を担当している祖母とフリーライターの母と3人暮らし。母は結婚しないで翠を生んだ。ずっと親友の花田、つきあっている平山水絵、それと遺伝上の父の大鳥さんが主な登場人物である。
母と子の「ね、今日はどうだった」「ふつう」という会話ではじまるのだが、クールな翠くんは吉田秋生のマンガの少年みたいでかっこいい。父であるところの大鳥さんにもクールにこんなことを聞く。「あのさ、大鳥さんは、どうしてちゃんとコンドームを使わなかったの」「いや、使ってたんだけど」「じゃ、なぜ」「おれ、コンドームの扱いが下手で」「そうか」こうして生まれた翠くんなのだ。そこで思い出したんだけど、サルトルの「聖ジュネ」を読んだとき、コンドームがあれば生まれなかった子どもだとジュネのことを書いていた。そこで7人きょうだいの5人目である私は、「産めよ増やせよ」の時代でなかったら生まれていなかった子なんだーと思ったのだが、いまは翠くんのような子がいる時代なんだ。
話しがそれたけど、さりげなく美しくて巧い小説である。

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2005年01月29日 00:55に投稿されたエントリーのページです。

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