« 山本やよいさん訳 ピーター・ラヴゼイ「漂う殺人鬼」 | メイン | 「iWork」を購入 »

アン・ファイン「フラワー・ベイビー」

震災前の数年「ホビットの会」というイギリス児童文学の勉強会に毎月行っていた。毎月指定された一人の作家を読み会合で話し合ったのはとてもよい経験だった。気に食わないと決めて読まなかった作家の作品も読んで、やっぱりアカンとわかったのもよい経験だった(笑)。わたしが参加したときはアラン・ガーナーで、それ以来50人くらいの作家の作品を読んだことになる。すごいなぁ。
いまも児童文学はミステリーと並んでわたしの読書の中心だが、手にするのは好きな作家の再読になってしまう。ガーナーもアリソン・アトリーもすごい作家だれど、そして何度も書いている「小公女」「秘密の花園」「リンバロストの乙女」も離されない本だけれど、新しい風にも吹かれなくては。
アン・ファインがいいと聞いて読んでみたいと思っていたら「フラワー・ベイビー」が図書館にあった。読み出したらいままでの児童文学を追い抜いている人だと気がついた。ホビットの会ではファンタジーが好きな人が多かったが、わたしはリアルに労働者階級の子どもたちを書いたのが好きだった。その系列の作品である。
持て余し者ばかりのクラスが、学年始めのサイエンス・フェアのプロジェクトに、小麦粉の入っている袋を赤ん坊とみなし、世話をするという〈フラワー・ベイビー〉のプロジェクトをやることになってしまった。サイモンはアホらしく思いながら世話をしているうちに、ベイビーが可愛く思うようになる。その過程がおもしろい。そして〈フラワー・ベイビー〉についての日記を書いているうちに、自分を置いて出て行った父親のことを考えるようになる。口笛を吹きながら出て行った父、その口笛はなんの曲を吹いていたんだろう。
最後のシーン。先生が学校の廊下でサイモンを見て、【通りすぎようとする若者の姿に、高くそびえる白い帆船が開かれた世界へと出港していくさまを見て、思わず敬意をはらい、後ろに身を引いたのだった。】これぞ物語!

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://dp31082594.lolipop.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/739

About

2005年02月10日 00:31に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「山本やよいさん訳 ピーター・ラヴゼイ「漂う殺人鬼」」です。

次の投稿は「「iWork」を購入」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。