ダイヤモンド警視が活躍するシリーズ8冊目。前作「最後の声」では愛妻ステフが殺人事件の犠牲者となってしまった。それ以来自宅を家庭と思えなくなったダイヤモンドは孤独な生活を送っている。
物語はバース警察署の上司ジョージナが、休暇中に愛猫をどこへ預けるかと悩むところからはじまるが、それは序章。海水浴客で賑わう海辺で女性が殺されているのが見つかるのが事件の発端である。所轄の警察の女性主任警部のヘンリエッタ・マリン(ヘン)が担当するが、殺された女性は殺人事件を追っているプロファイラーのエマ・タイソーで、バースの住人であることがわかる。それでダイヤモンド警視の登場となる。ヘン警部はすごく小柄だが、誰に対しても一歩も引かない、男社会で生きるすべを学んできた女性である。なにごとも耐え抜き着実に昇進してきた。彼女が身につけた男の習慣はひとつ、葉巻をくゆらすことだ。ダイヤモンドとヘンのやりとりが今回のおもしろいところである。
かたや、秘密にされていたが、映画制作者が殺され、その犯人と名乗る男からプロゴルファーと元歌手のアナに対する殺人予告があった。しかもこの事件を秘密にプロファイリングしていたのがエマであることがわかる。エマのパソコンに残された日記を解読すると、エマが最近つきあっていた男を捨てたことがわかる。その男をエマ殺しの疑いで調べるがアリバイがあった。
元歌手アナを殺人から守るために必死になるダイヤモンド、エマ殺しを追うヘン、あつかましくもからかいのメモを残す犯人。夢中で読み進むうちに、事件はちゃんと解決する。序章とうまく結びつくしね。(早川書房 2100円+税)