1948年製作のイギリス映画「赤い靴」はいま見てもすばらしい。最初に見たのは中之島中央公会堂での1回だけの上映会だった。それまでに姉からどんなに素晴らしいかを聞かされてばかりだったので、どきどきしながら見にくい席に座っていた。そのあともう一度名画祭みたいなので見て、それから何十年経ってレーザーデスクを買った。
最初に見たときは少女時代だったので、バレエ団を主催するレルモントフが憎らしかったが、次に見たときは夫の作曲家に怒りを覚えた。そして運命の赤い靴を履いてしまったモイラ・シアラーの踊りに感情移入したりした。
レーザーデスクで何度も見ているうちに、レルモントフのモデルとなったディアギレフに興味を持ち、ニジンスキーの伝記なんぞを読むといっそうこの映画を見るのが楽しくなった。レオニード・マシーンやロバート・ヘルプマンを見られることに感動。
最近はちょっとご無沙汰していたが、昨夜DVDでじっくりと見て、やっぱりええなぁ、買ってよかったとしみじみ思った。レーザーデスクは解説だけをコピーして捨てたけど、役割は果たしてくれた。
この映画のテーマである“結婚と仕事”はもう時代遅れなんでかったるいけど、「赤い靴」というバレエのテーマ、死ぬまで靴を脱げずに踊り続ける少女とだぶってうまい終わらせかたである。
赤毛の若きバレリーナ、モイラ・シアラーはとっても赤い靴が似合って美しい。わたしが夢中になっているとき、だれかに「イギリスでは彼女は駆け出しで、本当のプリマはマーゴット・フォンテーンだ」と言われた。わたしがマーゴット・フォンテーンが踊る姿を映画やレーザーデスクで見たり、写真集を手に入れたのはずっと後のことである。モイラ・シアラーはその後どんなバレエ人生を送ったのだろう。