今年の1月17日に発行された「阪神大震災から10年 未来の被災者へのメッセージ」第10巻を、週末ボランティア(週ボラ)で知り合った清重さん(VFC会員でもある)が送ってくれた。彼女は本書の44人の記録者のうちの一人で、「ボランティアから専門職へ」という文章をよせている。週ボラでボランティア活動してきたメンバーが、現在それぞれ別々に福祉に関する仕事を選び専門職になっているという。清重さんもその一人だ。そして「生きたいと思っていた人たちの分まで、私たちは生きていきたいし、生きている者同士支え合っていきたい」と書いている。ボランティア活動をせいいっぱいしたからこそ言える言葉だと思う。
それぞれの手記は震災から10年経ったいまも生々しく訴えてくる。子どもや配偶者を亡くした方の悲痛な言葉。「うちは丸焼けだけですんだんや」と言う老人に死者への鎮魂の気持ちをくむ言葉。
本書を10年にわたって編集発行してきた、阪神大震災を記録し続ける会代表の高森一徳さんは、去年の12月に編集を終えて57歳という若さで亡くなられた。わたしはこの記録集を読んだのははじめてだし、高森さんとお会いしたこともなかったが、今回「あとがき」を読んで姿勢を正した。
手記採用の基準について「筆者が自己責任でプライバシーを開示しているのが手記の特徴です」とある。その他の編集方針も納得いくものだ。そして最後の「『被災者正義論』からの卒業」を読んでまた納得した。「泣く子は訴えの内容が利己的ではないと説明し、第三者に人ごとではないとの共感を持ってもらわなくてはなりません」。考えがここまで到着された人にもっと長生きして活動してほしかった。(発売:神戸新聞総合出版センター 1260円)
1巻から9巻までの記録は「阪神大震災を記録し続ける会」に全て収録してあります。