海外ミステリに関しては自分ではちゃんと目配りしていると思っていた。嫌いなのとか苦手なものだって、作品名や作家名はちゃんとおさえているつもりだった。これっていつごろまでのことかしらね。
数日前にいただいたUさんからのメールの追伸に、お連れ合いのYさんからの伝言があった。「ヘニング・マンケルをごぞんじでしょうか?」スエーデンの警察小説作家でYさんはとても気に入っているそうな。「わっ〜存じませんでした。さっそく読まねば。」と返事をしてネットで調べて、土曜日のVFC例会前に本屋に行った。「殺人者の顔」「リガの犬たち」「白い雌ライオン」と3冊あったのでまず2冊を買った。それから読み始めて1冊目を読み終ったところである。おもしろかったので今日出かけたついでに3冊目も買ってきた。
第1作はスエーデンで1991年、翻訳は2001年、ちょうど発表されてから10年目に訳されている。主人公クルト・ヴァランダーは中年の刑事で妻と娘が一人いるのだが、少し前に二人に去られて孤独な生活を送っている。アメリカやイギリスの警察小説の主人公たちと似通った境遇で、事件解決に向かう意気込みもねばりもよく似通っている。違うのはスエーデン南部地方の町なので、まずものすごい寒さがわさわさと伝わってくる。殺人があった農家の隣人が異変に気づく明け方の寒さの描写に一気に惹き込まれた。
ページをめくるにしたがってスエーデンは長く移民を受け入れてきたことがわかった。同時に移民に対する反感も根強くあるということもわかった。被害者が言い残した「外国の」という言葉と外国人らしい縄の結び目という手がかりを反移民感情を配慮して隠していたのに、マスコミが聞き込んで流したために、移民逗留所が燃やされ、関係ない罪なきソマリア人が散弾銃で殺されるという事件も起こる。
クルト・ヴァランダーはあんまりかっこよくない。妻に去られた淋しさに耐えられないし、街で見かけた娘を思わず尾行してしまうのだ。唯一オペラが彼を慰める。
久しぶりでシリーズものの魅力にはまった。3冊目はものすごく厚くて普通の倍以上ある。読むのはたいへんだけど楽しみも倍以上あるだろう。(創元推理文庫 1000円+税)