エド・マクベインが7月6日にお亡くなりになったことをミクシィの書き込みで知った。
エド・マクベインという名前を知ったのはずいぶん昔のことだ。87分署シリーズ第1作「警官嫌い」(1956)を読んだのは、父親が読め読めとうるさく言ったからで、それから何作かは読んだはずなのだが覚えていない。黒沢明監督の「天国と地獄」を封切りで見たのは、仲代達矢が大好きだったからだが、原作がマクベインの「キングの身代金」だったこともある。
その後、数年前に「晩課」を読むまで全然読んでいなかった。その後も読めばおもしろいのはわかっていたにもかかわらず、あんまり読む気が起きず、よい読者ではなかった。ただキャレラ夫妻やマイヤー・マイヤーを懐かしむ気持ちはいつもあった。
シリーズ50作目という本書を読むと、キャレラが40歳の大台に乗ったことを感慨深く思っているところがあり、不思議な気持ちになった。だって第1作から50年近い年月が経っているのだ。こちらは白髪になっているのに、キャレラはまだ40歳なんだもん。
ベッドに横たわった老人の死体は、ドアのフックで首を吊ったのを、娘がベッドに運び上げたのだった。しかも調べると自殺ではなく、クスリを飲まされて殺されていた。というところからはじまり、警官たちの調査が地道に続く。
わたしが気に入ったのは、白人の刑事バート・クリングと黒人女性で市警の医師シャーリン・クックの間柄だ。【このあわただしい憎しみに満ちた都市で二人は出会い、恋に落ちた。この話を、フツ族やツチ族の人たちに、そしてアルバニア人やセルビア人に、そしてアラブ人やユダヤ人に話してやりたい。】エド・マクベインの気持ちが伝わってくる。(ハヤカワポケットミステリ 1100円+税)