4月21日にフランソワ・トリュフォー監督の「夜霧の恋人たち」の感想を書いた。主人公が惚れ込む大人の女性デルフィーヌ・セイリグがすごく美しく描かれていて、他になにかないかと探したんだった。そしたら「インディア・ソング」があってDVDが5月までの短期発売とある。あわてて買ったんだけど、なんか深刻そうでなかなか見る気にならなかった。買って安心してしまったのね。ようやく今夜見たんだけど、やっぱり深刻な映画だった。
原作は「ラホールの副領事」なんだろうと思うが、これを読んだのはもう何十年も前のことで、題名以外は全然覚えていない。デュラスの本をまとめて読んだときで、好きな「タルキニアの子馬」「破壊しに、と彼女は言う」「モデラート・カンタービレ」などは何度も読んでよく覚えているんだけど。持っているはずなので再読しよう。
1937年のカルカッタ、アンヌ・マリー(デルフィーヌ・セイリグ)はフランス大使夫人で、数人の男たちをはべらせて女神のような存在である。長い脚の美しい男たちは彼女を中心に毎日をけだるく流刑地にいるように暮らしている。そこへ元ラホール副領事が左遷されてやってくる。彼は鏡の中の自身を撃ち、また外に向かって発砲したのだ。彼は彼女に一目惚れし、パーティの後に彼女の許に残りたいと叫ぶ。叫びは止まずいつまでも続く。翌日、彼女は取り巻きを引き連れて島のホテルへ行く。そこに彼も来ていた。
120分全体が倦怠感にあふれていて、デルフィーヌ・セイリグも美形の男たちも緩慢な動きがなんともいい感じである。植民地で生活するヨーロッパ人の、そこにいるだけで罪である存在を、退廃的な男女を通じて表現している。夜の赤いドレス、昼の白いワンピース姿のデルフィーヌ・セイリグの美しいことったらない。そしてそうするしかない結末に向かう。