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ライア・マテラ「あらゆる信念」

「殺人はロースクールで」「殺人はラディカルに」に続く、女性弁護士ウィラ・ジャンソンが主人公の翻訳3作目(実際は4作目だが3作目は訳されていない)。とても非情な内容で読むのがしんどかった。そしてウィラの純真さに心を打たれた。
扉にあるイェーツの詩「再来」の一節が内容を暗示している。
  優れた人々は一切の強い信念を失い、
  極悪の輩は烈しい熱で張り切っている。
ウィラはLAで勤務弁護士として働き、市場価値の高い四年目の弁護士となっている。だが、弁護士の仕事に嫌気がさして、サンフランシスコへ帰り、これからの1年間をシャンナ判事のもとで調査官の仕事をしようとしている。
両親は感情的にのめりこむタイプの活動家で、ずっと平和活動にたずさわってきたし、自分が食べなくても人に食べさす生活を続けて来た。だからウィラがLAで普通の弁護士をしたことを、社会的に役に立たない就職をしたと腹を立てている。サンフランシスコの両親の家に着くと、ポーチの階段のそばに昔の知り合いの私立探偵ハーシーが立っていた。
ハーシーから頼まれて、いやいやある夫婦の仲に介入する仕事を引き受けたのだが、その夫はウェラの上司シャンナ判事の仕事に関わりがあるのがわかる。そこらへんから、だんだん過去の事件や、両親が関与していることなどが明らかになり、大物弁護士からの圧力もかかる。また2作目で好きになった警部補との再会があるが、彼は別れた妻とよりを戻していた。
ウィラは金髪で身長155センチ。悩んではマリファナを吸う。「銀行や企業のためにではなく、人民のために仕事がしたいんです」なんてアソシェイトとして自分の事務所に来ないかと誘う、左翼の大物弁護士に言うのだが、軽くいなされる。そして、政治という鏡をのぞきこんだら、吸血鬼のようになにもうつっていなかった気分になる。
最後はセラピストとの会話で、どこからはじめますかと聞かれて、「けさ、ゴールデン・ゲート・ブリッジからマリファナを投げ捨てました」。
1991年にこの物語は書かれ、92年に翻訳されたが、その後ウィラの物語は書かれたのだろうか。このころは翻訳女性探偵小説の花盛りだった。お陰でたくさんの女性探偵を知ることができた。このシリーズ読み返してよかった。(創元推理文庫 500円)

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2005年08月30日 23:39に投稿されたエントリーのページです。

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