先月読んだライア・マテラ「殺人はロー・スクールで」に続く第2作「殺人はラディカルに」は、主人公ウィラ・ジャンソンがサンフランシスコの弁護士事務所に就職して新米弁護士として月並みな仕事(離婚、家主と間借人のいざこざ、酔っぱらい運転の弁護など)に励んでいるところからはじまる。所長のジュリアンが世に知られるようになったのは、ミシシッピー州の公立学校の人種差別を撤廃させる訴訟だったせいで、リベラルな弁護士事務所として知られている。が内情はそうでもない。
銀製のワインクーラーが使われている高級レストランで事務所のメンバーたちと食事中、ジュリアンがドクニンジン中毒で倒れる。ムースのつけあわせの果物や花の形に切ったのを食べたせいだ。彼がいつも食べる癖を知っている人間の仕業だ。
前回も出てきたスルジェラート警部補は、今回も君が容疑者になっていると告げる。なんとジュリアンの遺言書には豪壮な家の相続人をウィラの母に譲ると明記してあったのだ。彼と母の付き合いは25年にわたるが、それくらいの付き合いの人は他にもいるのになぜ母なのか。
ウィラの両親はこれ以上ないというようなラディカリストで、原水爆禁止大会で出会い、放浪生活ののちサンフランシスコに落ち着き、平和部隊に加わりという活動を現在も続けている。ウィラは両親の影響をまともに受けて育った。
1988年の作品なのだけれど、ウィラの両親の言動から1960年から70年代のことが透けて見える。当時のアメリカの良心を代表してきて、いまもそうしようと思っている人間にはとても酷な様相になった時代をウィラは見つめて生きている。
ウィラは30代半ばの小柄で金髪の女性。一人暮らしで部屋を片付けるのが苦手だ。得意はやっぱり!へらず口である。(創元推理文庫 430円)