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ヘニング・マンケル「笑う男」

笑う男 ヘニング・マンケル北欧の(そしてヨーロッパの、世界の)いまという時代をこんなにぴたりと表現した作品は他に知らない。ヘニング・マンケルのクルト・ヴァランダーシリーズ4作目である。前作「白い雌ライオン」で、ヴァランダーは事件解決のためにやむなく人を殺すことになってしまった。そのトラウマで無気力になり酒浸りになり、仕事になかなかもどれない。ついに警察を辞める気になったとき、知り合いの弁護士が静養先まで訪ねてきた。同じ弁護士の父親が交通事故で死んだのが納得できないから調べてほしいと言う。この依頼を断った後、辞職届を出すためにイースタにもどったヴァランダーが知ったのは、訪ねてきた弁護士がなにものかに銃殺されたことだった。
辞職するためにきたと思った署長らに復職すると告げて、ヴァランダーは捜査をはじめる。父親のほうが最後に訪れたのは、スウェーデンだけでなく国際的に活躍する実業家が住むファーンホルム城だった。古城に出かけたヴァランダーは笑いを絶やさない城主と警護のものものしさにおどろく。
極秘裏に城主の背景を短期間で調べあげる刑事たち、新しく配属された女性刑事アン=ブリット・フーグルンドと組んで、捜査に出かけるヴァランダー、とてもいい感じで読んでいける。
本書の犯罪は少し前までは考えられなかったものである。今も昔と変わらず金持ちのために貧乏人が搾取されるわけだが、そのやり方がより残酷になった。そして、勤勉であった普通の人たちにも変化が現れる。フーグルントとの会話「・・・犯罪が残酷になった。より組織的になった。また、以前われわれがいわゆる善良な市民と見なしていた人々の中に犯罪をおこなう者が出てくるようになった。・・・」この状況はスウェーデンだけではないと思う。

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2005年10月24日 15:35に投稿されたエントリーのページです。

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