先日小児科医の山田さんとお話したとき、ミステリーの話になって、山田さんは男性が書いた女性が好きだとおっしゃった。わたしは常々女性が書いた男性が好きと言っている。わたしの好きな女性が書いた男性は,ピーター・ウィムジー卿(ドロシー・L・セイヤーズ)、モレル(サラ・パレツキー)、ジェイクとマローン(クレイグ・ライス)、その他大勢いる。「御宿かわせみ」の東吾さん(平岩弓枝)も好きだ。
S・J・ローザンの作品は女性のリディア・チン、男性のビル・スミスの2人が交互に主人公になり、もう一人が協力するというかたちになっている。リディアはもちろん好きだけど、ビルはもっと好き。やはり女性が書いた男性私立探偵である。
今回はビルがアップステート・ニューヨークに持っている山小屋の近くに住む女性イヴに、仕事を頼まれて訪れるところからはじまる。解説にアップステート・ニューヨークという土地について書いてある。バーバラ・クーニーの絵本にニューヨークの山奥の労働者を描いたのがあるのを思い出した。イヴは農場を持っているが、実はものすごく高名な画家で、夫を事故で亡くしてから名前を変えてここで暮らしている。仕事は物置にしまってあった絵が盗まれたので、秘密に探してほしいというものだった。そこへ旧知の酒場の地下室で死体が発見される。相次ぐ殺人と盗難がからみあって複雑なストーリーだ。後半リディアが登場し山場となる。
読んでいてやっぱり一人称の私立探偵小説はええなぁとため息をついた。タイトルとカバーの絵をなんとかしてほしいなぁ。こんなもんで女性読者が増えると思ったら大間違いだ、とわたしは思う。リディアとビルのシリーズ6作目。(創元推理文庫 1000円+税)