ロバート・B・パーカーに深く傾倒していた時期が長い期間にわたってあった。ボストンの私立探偵スペンサーシリーズの初期のころだ。スペンサーと恋人スーザン、同志ともいうべきホークの3人の活躍が楽しかった。10数冊ほど読んだころだったか「スペンサーのボストン」、「スペンサーの料理」という本が出た。そのあたりから変わったと思う。それまでは生き方の参考になっていたのだが、それ以来は趣味の参考本になってしまったのね。そんなことで買って読むたびに失望し、初期の数冊を除いてあとは処分してしまった。
本書はそのロバート・B・パーカーの別のシリーズである。やはりボストンの女性探偵サニー・ランドルものの4冊目で、なぜ買ったかというと、スーザン・シルヴァマンが出てくるとなにかに書いてあったからだ。スーザンとはなつかしい、彼女はどうしているのかなと、他の本を押しのけて読んだ。それに最近の文庫としては薄くて読みやすそうだったしね。
「別れた夫が再婚すると知って、わたしは相手の女に殺意を抱いた」という書き出しにはおどろいた。女性探偵サニーは37歳で犬のロージーと暮らしている。精神科医にかかるほどに抱えている問題は、離婚したがいまも好きなリッチーが他の女性と再婚するということだ。スーザンに治療を受けながらの仕事は、大学生サラからの実の両親を捜してほしいという依頼だった。調査をはじめると手を引くようにと妨害が入るし、殺人事件が起きる。
ボストンとニューヨークを駆け回って、どちらの警官とも協力してサラの実の親を捜し、事件を解決する。スペンサーシリーズに出てきたギャングや警官も出てくる。フランク・ベルソン刑事とはなつかしい。
スーザンは昔と同じく、リニーアン通りのビクトリア風の大きな家の1階を治療室にしている。医師として出てくるだけだから、けっこう登場するんだけど、相づちを打ったりするだけで個人的な会話がなくて残念。
既刊シリーズの3冊も次の作品も読む気がしない。ロバート・B・パーカーって緊張のない作家になってしまったものだ。(ハヤカワ文庫 800円+税)