クリント・イーストウッドが制作総指揮にあたった、セロニアス・モンク(1917〜1982)の生涯と音楽のドキュメンタリー「ストレート・ノー・チェイサー」のDVDを見終わって余韻の中にいる。これはすごい音楽映画だ。
たしか1963年だったと思うが、わたしは大阪のサンケイホールでモンクの演奏を聴いた。そのころはほんとに孤独で、いつも独りでコンサートや映画に行っていた。大学に行っていれば、ジャズや映画について語る友人ができたかもしれないけど、零細企業で事務員をして働いていたわたしにはそういう文化的(?)な友人がいなかった。兄貴分を自認している男の子たちはたくさんいたけど・・・。そういうつきあいでなくて、ほんまに心を動かすものを求めてさまよっていた。
「真夏の夜のジャズ」を見てセロニアス・モンクに圧倒されて、大阪公演があると知って、前のほうの席を手に入れた。そのときにわたしが聴いたモンクは、いま「ストレート・ノー・チェイサー」で見たヨーロッパ公演のモンクと同じような感じだった。ピアノを弾いているかと思えば踊り出す。ウィスキーのポケット瓶みたいなのを片手に持って。ピアノを弾いているときの足の動きもしっかりと見た。わたしが好きなのはやっぱり「ブルーモンク」、そして奥さんのネリーに捧げた曲だ。
植草甚一の本でパノニカ男爵夫人のことを知ったのを、さっき映像を見ていて思い出した。モンクにこの出会いがあってよかった。パノニカさんて自然体で、こんなお金持ちっていいなと思った。
そしてクリント・イーストウッド! 彼のお陰でジャズの素晴らしさが世に伝わる。「バード」をもう一度見たくなった。