20インチシネマディスプレイを買ってから仕事やらなんやら忙しくDVDを見る暇がない。たまに見ても古いビデオを見るのと変わらない白黒映画(「市民ケーン」「レベッカ」など)なので、このディスプレイで見る意味がないのよね。
今夜はこれなら20インチの値打ちがあるはずと「イノセンス」を見ることにした。このDVDを買ったのは一昨年の9月だ。最初見たときは理解不能なところがたくさんあったので、ネットで調べて一応のことはわかったつもりになった。その知識の上で、これから何度も見ようと思っていたのだが、まだ見ていなかった。2004年9月27日の日記を読むと、我ながらうまく内容の説明をしている。今日も同じようなことに感心した。ただ、ディスプレイが前に見た17インチと20インチでは質的に違う。青い空にたくさんの白い鳥が舞うところや、広大な屋敷の光景、東洋的な人形の数々のぬめっとして気味悪い美しさが、とてもクリアな画面にくり広がられて満足できた。スピーカーのせいでセリフが重厚に聞こえるし、音楽が東洋的ですごくよかった。
舞台は近未来だが、物語はハードボイルド警察ものである。そしてハードボイルド小説の主人公の特徴である“へらず口”は、孔子など過去の偉大な人の言葉になっていて、それぞれのシーンにぴたりとはまっている。主人公のバトーの行動と思考はほんまにハードボイルド小説の主人公そのものだ。そういう面からも心憎い作品だ。
草薙素子の存在は“魂”として作品全体を支配しているように思える。この作品のヒーローはバトーとともに草薙素子であることは言うまでもない。人間であるトグサの存在が、二人の崇高さと哀しさを浮き上がらせている。