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ドロシー・L・セイヤーズ「ベローナ・クラブの不愉快な事件」

ベローナ・クラブの不愉快な事件 ドロシー・L. セイヤーズ本書も1995年に出たときに読んだままだった。地震のあと忙しくしていたから、のんびりとクラシックなミステリーを読んでいられなかったのだろうし、一通り読んでまた後でと思ったのだろう。こんなにおもしろい本を一度だけ読んで置いてあったなんてもったいないことをした。
休戦記念日にピーター卿はベローナ・クラブに行く。マーチバンクス大佐がフランスの戦場で戦死した息子をしのんで開く、親しかった者とのささやかな晩餐会に招かれたからだ。そのときクラブ内で古参の会員フェンティマン将軍が、お気に入りの椅子に座ったまま死んでいるのが発見される。将軍の妹レディ・フェリシティ・ドーマーに電話すると、彼女は今朝亡くなったという。この兄妹は長い間交流がなかった。貧しい貴族の家庭に育ち兄は教育を受けて軍人になったが、妹は縁談を拒否して家出し実業家と結婚する。夫が功績により爵位を得たのでレディとなった。兄妹は会うことなく年老いて今となった。その妹が兄と会いたがっていると連絡があり、将軍は昨日会いに行ったばかりなのだ。身寄りがいないフェリシティの遺言は、兄が自分より長生きしたら遺産の大部分を兄に、逆なら同居して自分が後見している娘アン・ドーランドに大部分がいくというものだった。相前後して亡くなった二人のどちらが先だったかが焦点となる。弁護士に調査を頼まれたピーター卿が動きだす。フェンティマン将軍の二人の息子ロバートとジョージにも大変なことである。途中から殺人事件となりパーカー警部も加わる。
今回楽しいのはしっかりした女性たちが登場することだ。亡くなったフェリシティも親の干渉から逃れて、自分で選んだ夫といっしょになった。アン・ドーランドは、美人ではないが真面目で、ピーター卿は会話しながらしっかりした性格を見抜く。ジョージ・フェンティマンの妻シーラはお金がなく頼りない夫を助けようと喫茶店を経営している。それを僻んでモンクをつけるジョージ。ピーター卿の女友達マージョリーは芸術家で、ピーター卿をよく理解している人だ。次作でハリエット・ヴェインが登場するのを知らなかったら、マージョリーが恋人だったらいいのにと思うところだ。友だち同士でいようと決めた二人である。(創元推理文庫 税込み600円)

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2006年05月25日 15:18に投稿されたエントリーのページです。

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