溝口没後50年ということでテレビでやっている特集を見ている。今日までに「祇園の姉妹」(1936)「歌麿をめぐる五人の女」(1946)「雪夫人絵図」(1950)「雨月物語」(1953)「祇園囃子」(1953)「近松物語」(1954)「山椒大夫」(1954)「新・平家物語」(1955)と8本見た。
これ以外ではビデオも持っていて何度でも見ている「元禄忠臣蔵」〈前後篇〉(1941-42)とテレビで何度か見た「西鶴一代女」(1952)が見たことのある作品。
この際に溝口映画をしっかりと見ておこうと思い、ついでにネット検索をしてわかったのは、彼が女性をテーマに女性の肩を持った映画を撮ったことの意味だ。彼の父は生活力のない人で、母が苦労したあげくに彼が17歳のときに亡くなってしまい、姉が芸妓になって2人の弟を養った。その姉の苦労が溝口の映画の女性たちに投影されている。
今回見た中では唯一戦前の作品である「祇園の姉妹」は、映画史などで読んで山田五十鈴の新しいタイプの芸者が良いらしいので楽しみにしていた。ほんと、瑞々しい山田五十鈴はよかったけれど、最後のセリフはよけいだと思った。プロパガンダみたい。
あとの作品は戦後すぐから10年くらいの間のものである。時代劇にも敗戦と民主主義、古いものから新しいものへの時代の移り変わりが投影されている。「歌麿をめぐる五人の女」は、敗戦後すぐに映画をつくるにあたり、芸術至上主義をテーマにしたような気がする。
わたしは「雨月物語」と「近松物語」が好き。「雨月物語」は、古い屋敷に京マチ子が能面のような顔に能衣装のような優雅な衣装で出てきたところが最高。「近松物語」では、最後のシーン、不義密通で捕らえられたおさんと茂兵衛がくくられて馬に乗せられ、町を引き回しになるところ。「あれほど幸せそうなおさんさまを見たことがない、茂兵衛さんも幸せそう」と店の女たちがいうところ。
まだあと何本か見られるので楽しみ。今度の企画にはなかったけれど、漱石の「虞美人草」、泉鏡花の「日本橋」「滝の白糸」もいつか見たいものだ。