正確には「People America 人物アメリカ史 5 カポネの時代(1919〜1932)」(1984 集英社)である。全8冊で「自由の新天地」(1620〜1828)からはじまり、「激動の時代」(1964〜)となる。この1冊しか買わなかったのだが、いま買うとしてもこの1冊だなと思う。取り上げられている人物と紹介者はヘンリー・フォード(城山三郎)、ハーディングとクーリッジ(猿谷要)、スタットラーとヒルトン(鳥羽欽一郎)、サッコとヴァンゼッティ(石垣綾子)、ベーブ・ルース(鈴木明)、アル・カポネ(常磐新平)、ルイ・アームストロング(池澤夏樹)、チャールス・リンドバーグ(三好徹)、フラッパーともぐり酒場とジャズの時代(常磐新平)。それぞれ一流の紹介者で、特に石垣綾子の名前が懐かしい。
禁酒法とともに狂乱の20年代がはじまった。ギャングたちの密造酒が横行し、もぐり酒場が繁栄した。そしてアル・カポネの「聖ヴァレンタインデーの虐殺」にいたるギャングの抗争があった。大衆にスポーツを楽しむ余裕が生まれてそれが野球だった。女性たちは髪を切って長いスカートを脱ぎ、ダンスを楽しみ、ジャズに人気が集まった。自動車の大衆への普及があり、無政府主義者のサッコとヴァンゼッティが無実の罪で処刑されたのもこの時代だった。そしてリンドバーグが飛行機で大西洋横断して「翼よ、あれがパリの灯だ」となった。
わたしは子どものときに父親から「聖ヴァレンタインデーの虐殺」の話を叩き込まれたので、いまだにヴァレンタインデーはチョコレートの日と思うのに抵抗がある(笑)。そのせいか、アメリカの歴史の中でこの時代にいちばん思い入れがある。久しぶりに出してきたが、また楽しんで読めた。本の形が少し細長くて表紙のイラスト(日比野克彦)が楽しい。