それはいまから30数年前のことなのだ。ファイターズ優勝と新庄選手で北海道が話題にされているので思い出した。
北海道出身の相方と知り合って1年目の10月末、大阪駅から青森行きの「日本海」に乗った。寝台車だったが、こんなに長いこと汽車に乗ったのははじめてだった。北陸から東北の日本海を見るのもはじめてだった。青森に着くまでに雪がちらほら降り出し、青森駅ではみぞれだった。青函連絡船に乗って雪が降る函館に着いたら夕方で、それからまた列車で小樽へ行った。ちょうど24時間の旅だった。
小樽を起点にまず積丹半島へ行き、古平(ふるびら)の海岸で詩人 吉田一穂を偲んだ。そのころ彼の「母」という詩が好きだったので感激ひとしおだった。全4行のうち2行を覚えているので書いとく。
ああ麗しき距離(デスタンス)
つねに遠のいてゆく風景……
ひなびた温泉に泊まった。駅前の食堂で食べたどんぶり山盛りの甘エビがうまかった。帰りは余市でバスを降りてニッカの町を見物して列車でもどった。
次は登別へ行って熊牧場などを見学してから、その奥にあるカルルス温泉に泊まった。バスで知り合った一人旅の女性と手をつないで、雪の積もった道を歩いて旅館へ入ったのを覚えている。ここもいい温泉だったなぁ。
あとは小樽でしこたま魚を食べた。鱈の白子はいまではポピュラーだけど、そのとき食べたのがはじめて。おでんの具だった。
小樽から札幌に出るのに乗ったのが機関車だった。デゴイチではなかったけど、Dがついてた。