今日は起きたのがお昼過ぎで外は雨で暗くなにもしないうちに時間が経ち、夕食を食べたあとベッドにうつむけになって30分眠ってしまった。「雨の日の猫は眠い」。さっき台所で片付けをしつつ窓を打つ雨の音を聞いていたら、突然「暗い日曜日」の歌が口からついて出た。
家にあった「暗い日曜日」はダミアが1936年に唄ったもので、当時自殺者が続出したと一回り年上の姉たちが自慢そうに教えるのだった。もちろんなにを言ってるかわからないが、姉たちが流行歌の歌詞集をもっており、レコードをかけては「君は去りて暗い日曜日」云々と暗く、しかしうれしそうに唄うのだった。
この曲はいやなのにレコードの針をおとしてしまう魅力があった。聴くたびに大人になるとこういう状況が訪れるということへの恐怖でわたしは戦慄した。
1970年代になって阿部薫を知った。天王寺の駅から旭町通りをくねくねとくだっていくと、狭い道の角に女装の街娼が立ち、ピンクの明かりの飲み屋から流しのギターの音が聞こえる。そこにジャズ喫茶マントヒヒがあった。京大西部講堂ではじめて聴いてとりこになった阿部薫をマントヒヒが呼んだ。そこで彼が演奏したのが「アカシアの雨がやむとき」と「暗い日曜日」だった。
こんなことをぼそぼそと思い出させた今日は暗い日曜日だった。