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ローリー・リン・ドラモンド「あなたに不利な証拠として」を読んで思ったこと

あなたに不利な証拠として ローリー・リン ドラモンド最近は新刊書を読むのに慌てなくなった。昔なら新聞や雑誌の広告を見ると、発刊日にならないのに本屋で探したりしたものだ。雑誌なら駅売りだと前日に出すので「アンアン」を買いに駅まで行ったりした。いまは買うと決めている本を早く手に入れようとがんばらない。アマゾンに注文しようかなと言いながら、梅田へ出かけるまで待つことが多い。
本書は早川書房の広告(2月15日発行予告)で知って、新しく紹介された女性作家だし、女性警官のことを書いているらしいから買って読もうかなと思った。だが買うのを忘れていた。女性私立探偵シリーズではこんなことはないのにね。
3月12日の朝日新聞書評欄に池上冬樹氏の紹介文が掲載された。えらい褒めてあるので引いてしまった。でも最初から買う気だったんだからと、改めて本屋で買おうとしたら、置いてない。朝日新聞おそるべし。増刷まで2週間待ってとメモ書きが貼ってあった。そんなわけで手にしたのは6刷(4月22日)とかなり後のことである。たくさん売れたんだ。しかし良かったとも悪かったとも、全然わたしのところには声がとどいてない。だれが買って読んだんだ?
そうして手に入れたのだが、本をめくると辛気くさそうですぐに読む気が起こらない。先日までおいてあったが、整骨院で待ち時間に読む本がなくなったので読み始めた。たいていの本なら我慢できずに続きを家で読むのだが、この本は我慢ができて今日整骨院で読み終えた。短編集のせいもあるが。最後の一編はほろりとした。

著者はアメリカテキサス生まれ。ルイジアナ州バトンルージュ市警で制服警官として5年勤務のあと交通事故に遭い30歳で辞職。ルイジアナ大学で学び、大学で教えながら執筆に励んでいるそうだ。
本書は12年にわたって書かれたもので、5人の女性警官の物語が、キャサリン3話、リズが2話、モナ2話、キャシー1話、サラが2話ある。複数あるのは連作になっていて、先の主人公が次にこういう人生を歩んでいるという話になる。それぞれ繊細な気持ちを持ちつつ日々の勤務につき、上司や男性警官との軋轢に耐えたり反撃したりの生活を描いている。警官同士で結婚した人もいるし、独身の人もいる。結婚した相手の昔の汚点がいま暴かれる人もいる。結局警官を辞める人もいる。
読んでいていいなと思ったのは、男性女性の警官が混じってしゃべったり飲んだりするところ。もう女性警官だと肩肘張らなくても男女いっしょに普通にグループをつくっている。女性私立探偵が男性社会に切り込んだ時代から20年以上経っているもんね。
わたしの好みではないのは純文学ふうなところかな。わたしの苦手なジョイス・キャロル・オーツに似ているところがあるなと思ったのだが、「訳者あとがき」にも2作目がずっしりと重くてオーツを思わせると書いてあった。純文学的に書く人がいて評価されてそれはいいんだけど。
だけどわたしは思う。9.11以降の世の中の動きに対して、サラ・パレツキーが「ブラック・リスト」で行った彼女の思想の表明について、単なる女性私立探偵ものとしてくくってしまっていいものか。なんで朝日新聞は本書を大々的に取り上げて、「ブラック・リスト」を取り上げなかったのだろうか。(ハヤカワミステリ 1300円+税)

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2006年11月28日 00:34に投稿されたエントリーのページです。

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