午後、細野ビルで「スイーツ寄席」というタイトルで催された落語会に行ってきた。出演は、桂吉坊(「池田のしし買い」「七段目」)、桂吉の丞(「ときうどん」)、スペシャルゲストが観世流能役者の味方玄(みかた しずか)。
桂吉坊が落語会の立派な舞台装置一式を運び込んでの舞台は華やかで、古いビルとアンバランスなのにぴったりとあっている。細野ビルの包容力はすごいなと改めて感心した。舞台と客席の間がなくて、握手ができると本人も言ってくらい。ぎっしりと詰まった客は110の椅子に収まらず立ち見の人もいた。着物の女性が多いので聞いたら関係者に着付け教室の人がいるそうだ。いろんな着物の人がいて見ていても楽しかった。黒のタートルセーターの上に花柄の着物でブーツとか、ストールを巻いている人とか、大正時代みたいな柄の着物とか。全体に渋めの色調でいい感じの人が多かった。
第一部、桂吉の丞の「ときうどん」は元気いっぱいで楽しくやっていた。うどんの食べ方も上手で若々しかった。桂吉坊の「池田のしし買い」もおなじみの噺だから笑って聞いた。わたしが上方落語に目覚めたのはジャズ喫茶「タイム」で米朝さんの「池田のしし買い」のレコードを聴いたときからはじまっている。今日は若い元気な「しし買い」だったがそれなりに楽しめた。で第一部が終わった。
第二部は能役者の味方玄を招いてのトークではじまった。これはいただけなかった。味方さんは能を世に広めたい志を持っている方だと思う。それで、謡の稽古に来ている(トークによるともっと深い関係があるようだ)吉坊の誘いに乗りはったのだと思うが、もっと打ち合わせをちゃんとしてほしかった。照れもあっただろうが話がだれていた。お客に「高砂」を教えてくれてトークは終わり。次に「松風」を謡ったがトークの後だけについていけなかった。いつか味方玄の能舞台を見てみたい。
最後の噺を聴いているうちに「七段目」とわかった。あらあら、えらいもんやるなと思って聴いていたら、器用にこなしていたけど若さが出てしまっていた。若さから巧さへ変わっていくのは大変だと思う。これはもうちょっと年をとってからやりはったほうがいいと思ったのはわたしだけかも。お囃子も入って賑やかに終わって拍手もいっぱいだった。
午後の日差しが白いカーテン越しに入ってくるビルはとても魅力がある。ふと、ここ新町で桂文太の新町の遊女が出てくる噺を聴きたいと思った。そこの新町橋のほとりでっせとか言って「幾代餅」やったらよかろうなぁ。