私立探偵リディア・チンとビル・スミスが活躍するハードボイルドミステリーの7冊目。最初読んだときから気に入っていたが、ずっと緊張が持続していて進歩しているところがすごい。
一作ごとに語り手が交代するが今回はリディアの番である。父親の親友でリディアも子ども時代から親しんできた薬種店を経営するガオおじいさんの依頼で、香港へ行くことになる。父とガオとウェイ・ヤオシーの3人は子どものころからの親友だった。父は亡くなったがガオはいまもリディア一家を見守ってくれている。依頼は最近亡くなったヤオシーの遺品の翡翠を香港の息子に届けてほしいというもので、ビルもいっしょに行くという条件である。ヤオシーはニューヨークと香港に家庭を持ち、それぞれに息子がいる。妻どうしはそれを知らずに早く亡くなっている。なぜ遺品を渡すだけに二人が行くのか、疑問に思いながら香港に到着し、息子のスティーブンの家に着くと、無人で家の中が荒らされており、妻と7歳の息子とフィリピン人の子守りがいない。弁護士とともに帰ってきたスティーブンは妻たちは来客用の菓子を買いに行っただけだという。そこへ電話があり子どもが誘拐されたとわかる。
リディアとビルは香港の闇社会を相手に、香港警察のマークと協力することになるが、マークは昔ガオおじいさんのところでいっしょに遊んだ少年だったとわかる。ビルが子守り女と連絡がついて一人で乗り込むが、悪漢につかまり暴力を受ける。それを知ったリディアは走る。マークは闇社会の捜査をしながら二人を援護する。リディアとマーク、ともに戦った二人の間には微妙な感情が生まれる。最後が哀切なんだよね。
それにリディアとビルはどうなるのだろう。香港の一夜でなく未来に続く関係を求めるビルと「それは約束できないのよ」というリディア。「わかっている」とビル。(創元推理文庫 1160円+税)