わたしは英語もできないくせに欧文書体が好きで、文字の見本帳や解説書を眺めるのが大好きだ。ときどき変えるヴィク・ファン・クラブの会報のタイトルなんかを、あれかこれかと探すのが楽しみ。今月はサラ・パレツキーさんからのメールを会報に載せるのに、どのフォントにしようかなと楽しんだ。結局、以前から好きなオプチマにしたのだが、古典的なフォントって品があって素敵だ。
できたのを惚れ惚れと見ながら、オプチマって品があるなぁ、好きやわぁと言ってたら、相方が本を出してくれた。永原康史「デザイン・ウィズ・コンピュータ」(第2版2003)とジェイムズ・クレイグ「欧文組版入門」(1989)の2册である。後のほうは仕事に使ってたものだ。
実は永原康史さんは昔の知り合いである。80年代のはじめに知り合ったころは近所に住んでいて、よく四ツ橋筋のパームスでいっしょに時間を過ごした。カメラマンやミュージシャンや美術家を目指す青年たちの中で、ずば抜けて頭がいい青年だった。彼がいつの間にか東京へ行って10年くらいのうちに「先生」になっているのを知り合いが知らせてきた。本書の第1版がデザイン書の売り場に平積みしてあったもんなぁ。
それで、今日の話題との関連なのだけれど、本書の14ページにある写真「トラヤヌスの碑文」に刻まれた文字のことである。
【AC.100ごろ トラヤヌス帝によってローマの中心部に建造された大円柱の基盤にある碑面に彫られた文字。ラテン語文化圏のタイポグラフィのすべての基準になる遺産といわれている。すでに字形は完成しており、今もなおタイプフェイスは石に刻んだノミの跡を継承し続けている】
とある。欧文書体でセリフとサンセリフに大まかに分けられるのは知っていた。文字見本帳によると、セリフは「文字の主要なストロークの先端から突き出る小さな爪状のストロークのこと」である。それは知っていたが、その元が石に刻まれたノミの跡とは知らなかった。