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山本やよいさん訳 メアリ・バログ「ただ忘れられなくて」

ただ忘れられなくて メアリ・バログ山本やよいさんから送っていただいたときは、なんてストレートなタイトルなんだと思ったが、内容もストレートですーっと読める。19世紀前半のイングランド、美男美女が惹かれ合いながら反発しあう。男性は貴族の御曹司でロンドン社交界にいて、女性は過去にわけありでバースの女学校で教師をしている。
フランシスは大伯母たちを訪ねたクリスマス休暇のあと、大伯母の旧式な馬車に乗ってバースへ帰る途中、新式の馬車に追い越されて雪だまりにはまってしまう。新式馬車に乗っていたルシアスと言い争いになるが、大雪を避けて近くの宿屋に泊まることになる。そこには留守番しかおらず、暖房や食べ物の支度も自分でするはめになる。気に食わない相手ながら、料理をつくったり雪だるまでたわむれたり、だんだん打ち解けていき、ダンスをしてベッドへ行く。展開が早い。
それから二人とも相手を忘れられなくなるが、フランシスは学校教師を真面目に勤めようとする。バースの医師が交際を申し込んでいる。ルシアスのほうも婚約することになっている完璧な貴族令嬢がいる。
実はフランシスは素晴らしいソプラノ歌手として幼いころから訓練されていた。父親が亡くなってからいろいろあって、バースの学校へ逃げ込んだのだ。祖父の保養に行ったバースの夜会でフランシスが歌い、その才能をルシアスは知って学校に会いに行く。
祖父がロンドンでじっくりと聴きたいということで、音楽家の後援をしている貴族も呼んでの音楽会は大成功だった。ルシアスは会うたびに求婚するがそのたびに断られる。
ジェイン・オースティン「高慢と偏見」、シャーロット・ブロンテ「ジェイン・エア」、「ドロシー・L・セイヤーズ「学寮祭の夜」を思い出した。金持ちの男性が貧しい娘を恋して追いかけ、その拒絶されている間に男性も考えを新たにし成長する物語。その系譜である。いまの時代に書いた〈時代小説〉だからスピードがあって読みやすい。
女性探偵の物語には暴力シーンが必ずあるように、ロマンス小説には丹念なベッドシーンがある。たまにはこういう小説を読んでロマンチックムードにひたるのもいいな。相変わらず慌ただしい日々のひととき、コーヒーを飲みながらちょっとのんびりした。(ヴィレッジブックス 880円+税)

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2007年01月24日 01:14に投稿されたエントリーのページです。

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