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エロール・ル・カインの華麗な絵本「まほうつかいのむすめ」

エロール・ル・カインの絵本が好きだ。これでもかとばかりに装飾を加えた色も線も華麗な絵本を広げると夢心地になる。時代も場所もエロール・ル・カインの世界と言うしかない。本書の表紙の奇妙さに、わけがわからんと言う人も多いだろう。ヘンな魔法使いらしき人物がいて、嘆いている黒髪の娘がいて、立派なお城があってお日様が照り、あでやかに咲く薔薇の花、奇麗な水に魚が泳ぎ、鹿の親子が憩っている。
あるお城に魔法使いと娘が二人だけで住んでいる。娘は自分が何者なのか知りたいと思い、父に聞くが相手にしてもらえない。うるさく思った魔法使いは、本を読みたいという娘にたくさんの本を与える。部屋にこもって本を読む娘の姿は「源氏物語」に読みふける姫君の姿のよう。十二単っぽい衣装に黒髪が長く伸びている。読書によって娘は山の向こうにさまざまな国があることを知り、いろいろな人がいることを知る。そして人々は名前で呼ばれていることも知る。自分の名前はどういうのだろう。娘は夢の中で呼ばれた幼いときの名前のことを考える。
魔法使いに問うと、薔薇の花だった、次は水の中の魚だった、鹿だった、という答えがあり、それぞれの姿にしてくれるのだが、娘はそれらではなかったと思う。最後に小鳥に変身させてもらうと、力の限り山の向こうへ飛んで行く。そして母と巡り会い自分の名前を知る。その名はチ・フィ・エンというのだった。
文のアントニア・バーバーはベトナムから迎えた養女のためにこの物語を書いた。その娘の名、チ・フィ・エンをそのまま物語に使っている。
ル・カインの絵は日本、中国、東南アジアの雰囲気を持つ、不思議な東洋的世界を展開していて、何度見ても飽きない。(ほるぷ出版 1500円)

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2007年02月04日 22:40に投稿されたエントリーのページです。

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