スウェーデンの作家マリア=グリーペの1968年の作品で、翻訳が出たのが1980年、それから長らく絶版になっていたが「復刊ドットコム」に熱意が伝わり2004年に復刊されたもの。
マリア=グリーペという名前を覚えていたので日記をさかのぼってみたら、2000年(2000.6.21)に「エレベーターで4階へ」「自分の部屋があったら」「それぞれの世界へ」の3部作を読んでいた。田舎から都会へ、母と二人で出てきた少女ロッテンの物語。銀行家の家に住み込みのお手伝いさんになった母と暮らしながら、その家の娘や学校友だちやボーイフレンドや猫と親しくなっていく。その様子を可愛がってくれた亡きおばあちゃんに出さない手紙を書く。
「夜のパパ」も都会暮らしの母と子の物語だ。看護師の母は夜勤なので、娘のために夜にアパートにきてくれる人を募集する。〈やさしい子守の仕事/仕事をしながら眠れます/眠りながらできるお仕事/電話○○〉。その広告を見た青年は狭い部屋でフクロウのスムッゲルと住んでいる。面接に行くと信頼され、仕事がはじまる。
少女ユリアは彼を「夜のパパ」と呼び、最初は〈じゃましないで〉と貼り紙するが、そのうち〈じゃましてください〉に変わる。そういうことをユリアが書いておこうと発案し、夜のパパもそれではと書くことにし、読者は代わりばんこの手記を読むことになる。少女の微妙な気持ちの揺らぎが二人の手記から読み取れる。
孤独な青年と孤独ないじめられっ子の少女とフクロウが、夜を共に過ごしながら次第に打ち解けて行く。読んだ後に切ない気持ちが残る。