フランソワ・オゾン監督の映画を何本かまとめて見たら「8人の女たち」(2002年)をまた見たくなりビデオを借りてきた。
前見たときは気がつかなかったが、車椅子に座っている祖母がダニエル・ダリューなのだ。それも途中から立ち上がる元気な老女である。色香があり美しい。しかも歌も歌うのにはおどろいた。いやー、こういう立派な先輩がいると、年を取っても大丈夫と思えてくるわ。それだけの努力はしなくちゃいけないだろうけど。
ダニエル・ダリューと言えば透き通った美貌の持ち主で、美しい女の代名詞のような女優だったのではなかろうか。わたしの姉たちが騒いでいたのは「暁に帰る」(1938)だった。戦前のことだったと思う。姉たちも幼くして見たようだ。戦後になってからは「うたかたの恋」(1936)で騒いでいた。わたしは小学校のとき「背信」(1938)に連れていってもらった。貧しい学生のダリューが、幼いときに娘がいなくなった(さらわれたのかな)金持ちの家へ行って、自分がその娘だと言って住み込む。親とうまくいって裕福な暮らしをさせてもらうが、良心の呵責に耐えかねて告白すると、親はわかっていたと言ってこのまま娘になってくれというストーリーだった。いつばれるかとばらばらして見ていた。それ以来のダリューファンだ。
「8人の女たち」はオゾン監督の才気がほとばしる素敵な映画だった。毛皮のコートが似合うゴージャスな女主人にカトリーヌ・ドヌーブ。召使いスタイルがセクシーなエマニュエル・ベアール。二人の娘の才気煥発な会話とカジュアル&可愛い服。そこへやってきた夫の妹ファニー・アルダンは、かつてキャバレーのダンサーだったという真っ赤なセクシーなドレス+黒い長手袋。
一家の主がナイフで刺されているのが発見されて、電話線が切られている。8人の女たちの動揺と猜疑心がさまざまなかたちで現される。それがときたま歌とダンスになる。
圧巻はカトリーヌ・ドヌーブとファニー・アルダンが取っ組み合いをしているうちにあえぎだすところ。フランスを代表する大女優さんになにをさせてくれるんや、オゾンさん、って思ってしまいました(笑)。きっと撮影中は和気あいあいで楽しくやってたと思う。