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アンドレ・テシネ監督「かげろう」をDVDで

かげろう アンドレ・テシネアンドレ・テシネ監督の名前を知ったのは、ずっと前にサンケイホールで見た「海辺のホテルにて」(1981)だ。タイトルに惹かれたのとカトリーヌ・ドヌーブが好きだったので、多分一日だけの上映に行ったのだと思う。とてもメランコリックでよかった。もう一度見て感傷にひたりたい。
次に見たのは「ブロンテ姉妹」(1978)で、これも映画館でなく朝日アリーナの上映会で見た。一人で見て感激して帰りは肥後橋から歩いて帰ったのを覚えている。イザベル・アジャーニ演じるエミリ・ブロンテがヒースの丘をショールを巻いて歩くところがよかった。最後のほうで、シャーロット・ブロンテが都会へ招待されて芝居を見に行くところ、松明で照らされた劇場の外と、劇場内の蠟燭のシャンデリアが美しくて好きなシーンだ。ビデオを買って持っているが、わたしの好きな映画の10本に入るだろう。そのわりに見ていない監督なのはなぜかしら。これから気をつけてビデオを借りよう。

たまたま相方が良さそうだと借りてきたのが「かげろう」である。見始めたらアンドレ・テシネの文字が読めてうれしくなった。しかもすごく良かった。
第二次大戦でフランスはドイツにやられている。1940年、夫を戦争で亡くした教師のオディール(エマニュエル・ベアール)は13歳の息子と7歳の娘を連れて、ナチスの侵攻から逃れようと車で国道を行くが、あらゆる種類の自動車、馬車などと徒歩の人たちとがぞろぞろと続いている。空爆が繰り返され、ついにオディールの車もやられてしまう。必死で逃げて脇道にそれたとき、若い男イヴァン(ギャスパー・ウリエル)が声をかける。どうしようもないまま彼といっしょに森を抜けて村に入ると、村人は避難して誰もいない。イヴァンは無人の家にガラスを割って入り、3人はついていく。久しぶりにベッドで寝て風呂に入り、ワインを開けて固くなったパンを食べる。
それからはイヴァンがウサギや魚をとってきて食料を確保する生活になる。息子とイヴァンはいろいろあるものの友情を結ぶし、娘もなついていく。イヴァンが字を読めないことを知り、オディールは教えはじめる。つかの間の安穏と先行き不安の中、オディールとイヴァンは野外で結ばれる。
翌日イヴァンは他の農家に行って官憲につかまり、彼が感化院を脱走していたことをオディールは知る。その後、一家は施設に収容されるが、イヴァンについて訊ねにきた官憲に彼女はなにも知らないと答える。そして彼はいまどうなっているかと聞く。
エマニュエル・べアールは最初から最後まで緊張した演技で通し、ギャスパー・ウリエルは感化院から脱走して中流の一家に出会った青年をエキセントリックに演じている。息子も娘もものすごくうまい。
17歳の感化院脱走少年にジャン・ジュネを重ねてしまった。同じ年頃ではなかろうか。
たった60年ほど前のことである。大阪もアメリカ軍に空襲されて、我が家は一家離散状態だった。
こういうかたちで戦争を描くことも可能なのだと目が覚めた。

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2007年04月16日 00:23に投稿されたエントリーのページです。

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