2006年8月に発行されたミス・ラモツエの事件簿シリーズの3冊目。アフリカはボツワナ共和国の都市ハボローネで探偵事務所を開業しているマ・ラモツエは、自動車整備の仕事をしているミスター・J・L・B・マテコニと婚約している。結婚すると二人はふたつのビジネスとふたつの仕事場をもつことになる。目下の探偵事務所の収入はしれていて、秘書兼助手のマ・マクチの給料を出すのもしんどい。ラ・マテコニの事務所に同居することを考えて、そこの事務もしてもらうと話を決めた。ところがラ・マテコニの様子がおかしい。なにもする気がおこらなくなり沈んでいる。前作で婚約したので、今回は新婚生活中かと思いきや、マ・ラモツエは病気の婚約者のことも考えなければならない。引き取った子どもたちの世話は家政婦のローズがしてくれている。この国ではお金に余裕がある者が、貧しい者を雇うというべきという考えがある。一軒の家に人が入るとどこからか、使ってくれとやってくる。ローズもそうしてやってきて、あらゆる家事を引き受けている。
マ・マクチはラ・マテコニがいない工場を取り仕切り、見習工をうまく使って仕事を片付けていく。そのかたわら探偵仕事もやるというがんばりよう。
サバンナのキャンプでたき火しているグループが、裸の子どもを見つけ、その子はライオンの匂いがしたという「闇のなかの少年」という一章がある。マ・ラモツエは少年を引き取った孤児院の院長との会話で、「物事にはそっとておくほうがいいこともあります」と言う。動物が育てた子となれば新聞に書き立てられ、どこかへ連れて行かれるはめになる。その少年と病気療養中のラ・マテコニが関わる最終章があって、二人の前途にほのかに希望がわいてくる。
二人の女性探偵が引き受けた仕事を誠意をもって片付け、人と交わり人を助け収入を得る。人間とつきあえない少年がラ・マテコニと通じ合っていく。単純すぎるという人もいるだろうけど、気持ちのよい作品である。次の翻訳が待ちどうしい。