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木村二郎さん訳 エドワード・D・ホック「サム・ホーソーンの事件簿 V 」

サム・ホーソーンの事件簿 5 (5) エドワード D.ホック最初の物語を読んだときからサム・ホーソーン先生は年寄りで、聴き手にお酒をすすめながら自身が関わった事件の話をする。5冊目になってもそのかたちは変わらない。
若いサム先生がニューイングランドのノースモントにやってきて開業したときからの物語なのだが、すでに20年も経って、先生はいまや40代のそうそうたる町の名士である。それでも、なにかあるとすぐに腰を上げる。看護婦のメリー・ベストに予約があるか聞き、あれば明日にしてもらって犯罪現場に出かける。レンズ保安官は太ったが健在で、ヴェラという素敵な奥さんに恵まれ、相変わらずいっしょに捜査活動をする。
そんな日々を過ごしているうちに時代は進み、いまや第二次大戦開戦の暗雲が立ちこめようとしている。ここに入っている12の短編(その他の一編はボーナスで、レオポルド警部もの)の出だしほとんどに開戦への不安な気持ちが書かれている。終わりの方で、気の合っていた看護婦メリー・ベストは海軍の従軍看護婦になるため診療所を辞める。その代わりに昔看護婦をしていてホテル経営者と結婚したエイプリルが、夫が戦地に招集されたためにホテルを閉めてやってくる。読んでいると時代が歴史的でなく感覚的にわかってくるような気がする。次の6冊目では、真珠湾攻撃の速報がノースモントの人たちにも伝わってくるのではないかしら。
ゆったりとしたニューイングランドの物語と言ってる間に時代は進んでいる。1冊目から4冊目までに何度も書いたけど、禁酒法の時代なんて言ってるときはずっと昔の話と思っていたのにね。
そういうことはおいて、12+1の物語は考え抜かれたミステリーですべておもしろい。わたしは密室ものとかあまり好きでないが、有蓋橋を抜けるパレード中に町長が橋の上で至近距離で撃たれたり、また別の町長が修道院で影も形もなくなったりすると、我を忘れて読みふけってしまう。また今回は美人の獣医さんアナベル・クリスティーが登場して、お互いに惹かれ合う。サム先生はアナベルが持ってきた子猫のワトソンを飼うことにした。「この猫がいるとアナベルのことが思い出されるからだ」だって。6冊目が待ち遠しい。

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2007年06月17日 00:39に投稿されたエントリーのページです。

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