« アイルランドの現代小説 コルム・トビーン「ヒース燃ゆ」 | メイン | 雨の中、native を聴きに »

「フィリップ・マーロウの事件」の中にサラ・パレツキーの短編が入っている

フィリップ・マーロウの事件 レイモンド・チャンドラー本書は私立探偵フィリップ・マーロウを創作したレイモンド・チャンドラーの誕生100年を記念して、1988年に刊行された本の翻訳である。日本で1990年に刊行された「フィリップ・マーロウの事件 I・II 」から16作品を選び出し、文庫で1册にして今年再発行されたもの。
サラ・パレツキー、ロジャー・L・サイモン、ジョン・ラッツなど好きな作家が入っているのはありがたいが、ロバート・クレイスが入っていないのが淋しい。元々の本は持っていたのだが、いまは所在不明になっているのでなんとかして全部読みたいものだ。

今日の夕方ジュンク堂で買って、シャーロック・ホームズでギネスを片手に読んでいたのだが、不思議な気分になってしまった。好きな作家から読んでいったのだが、当たり前ながらすべてフィリップ・マーロウの事件である。しかし作家によってどことなく違うというか、チャンドラー描くよりもマーロウらしいみたいなところもある。さっさと読まずに時間をかけてぼちぼちと読んでいくことにしよう。最後にチャンドラー本人の「マーロウ最後の事件」が収録されている。

今日はサラ・パレツキーの「ディーラーの選択」の紹介を。
私(マーロウ)がオフィスの待合室へ入っていったとき、彼女が静かに座って待っていた。黒髪で赤いシャンタンのドレスと帽子の小柄な女性である。兄が賭け事で負けて、母の形見のダイヤの指輪をとられてしまうと言う。ギャンブル相手のボグナヴィッチに話をつけてほしいと言うのだ。ボグナヴィッチの家へ行くと、彼は口径の小さな拳銃で6発撃たれ死んでいた。
オフィスへ帰って彼女の残した連絡先へ電話すると、農場につながり、女は一人もいないと言われる。マーロウは農場へ出かける。そこでなぐられてクルマに放り込まれ、ガソリンをかけられて火をつけられるところに、出てきたのがかの女で、こんなところでやったら目立つわよ、私が谷底に突き落とすと言ってクルマを走らせる。
この女性が日系人でアキコといい、第二次大戦時代に農場を持っていた日系人がどう生きていこうとしたかという話になる。
依頼人の女性の雰囲気、机の引き出しから出して飲むライ・ウィスキーはチャンドラーとマーロウの世界だが、日系人が暮らしにくかった時代をうまくとらえている社会性はサラ・パレツキーのものである。(ハヤカワ文庫 940円+税)

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://dp31082594.lolipop.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/947

About

2007年06月23日 23:41に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「アイルランドの現代小説 コルム・トビーン「ヒース燃ゆ」」です。

次の投稿は「雨の中、native を聴きに」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。