アンドレ・テシネ監督の最新作「かげろう」を見たら、そういえば「海辺のホテルにて」と「ブロンテ姉妹」はよかったなと思い出した。「海辺のホテルにて」はずっと昔にサンケイホールで見ている。サンケイホールは映画館でやらない映画を1日だけやっていてロミー・シュナイダーの「女銀行家」もそのころ見たと思う。「ブロンテ姉妹」は朝日アリーナ(いまはなんというのかな)で、やっぱり一日だけか一度だけの上映だった。両方ともアンドレ・テシネという監督よりも、タイトルと女優に惹かれて見たので、「かげろう」を見るまで監督を思い出さなかった。ということで、いまはアンドレ・テシネ監督の映画を見られるだけ見たいと思っている。
「夜の子供たち」(1996)は犯罪者と刑事とその家族を描いた映画で、フィルム・ノワールの雰囲気が濃厚だけれど、恋愛映画でもある複雑で不思議な作品だ。
刑事アレックス(ダニエル・オートゥイユ)の生まれた家は、父も長男も泥棒を仕事としている一家である。彼はそれに反発して刑事になった。
万引きしたジュリエット(ロランス・コート)を捕まえたことによって、二人は関係を持つが、ジュリエットが愛しているのは大学の哲学教師マリー(カトリーヌ・ドヌーブ)だった。ジュリエットの兄ジミー(ブノワ・マジメル)は泥棒の一味である。
大掛かりな自動車泥棒を企むが失敗し、アレックスの兄は銃で撃たれて死ぬ。自分から参加したジュリエットは顔を見られてしまう。ジミーは妹をこの世界に入れたくないと勉強させたので、誰にも言わずにマルセーユに隠す。
アレックスはマリーに接近する。孫がいるというのにジュリエットを愛しているマリー。二人でお風呂に入っているところがステキ。女どうしの美しいラブシーン。マリーはジュリエットの物語を小説にするために会話を録音している。書き上げたときにアレックスが訪れて二人はオペラを見に行き食事する。その翌日テープやノートをアレックスに送り、マリーは自殺。
アレックスはジュリエットを訪ねてマルセーユに行くが、書店で働く優雅な彼女の姿を見て言葉をかけるのを断念する。そしてマリーが遺したものは自分に宛てたのだと気がつく。
最初のシーンが山荘の夜で、長男の遺体が運ばれてくる。物音に気が付いて10歳くらいの息子が降りてくる。事故死だと説明するが息子は納得しない。異様に孤独な子供で、アレックスのことをデカは嫌いだと言い切る。ものすごく美男のジミーはこれからの仕事を仕切るようになり、未亡人を手に入れる。野原で黙々とカードを切るジミーの名人芸をうっとりと眺める息子。