レジナルド・ヒルの18作目の作品。6月29日に書いたときは、こんなに長い作品を読み通したのにもかかわらず、しかもとてもおもしろかったにもかかわらず、感想を書くことができなかった。警官たちがどんな事件にきりきり舞いさせられているのか、さっぱりわからなかったからだ。前作「死者との対話」を読んでようやく事件の全貌がわかり、連続殺人事件の犯人を認識して読むと、もやもやしていたダルジール警視の苦悩もよく理解できた。シリーズは順番に読まんとあきません。
「死者との対話」の最後でワードマン事件は解決している。森の小屋で図書館員のライ・ボモーナに危害を加えようとする上司のディック・ディーを、警察官でライを愛しているハット・ボウラー刑事が追いかけ、危機一髪で間に合う。取っ組み合いの結果、ボウラーはディーが持っていたナイフで、ディーの体の13カ所を刺して殺してしまう。そして自分も重傷を負う。後から駆けつけたパスコー主任警部とダルジール警視は、ディーがすべての事件の犯人だったと認識し、連続殺人はこれで終わったこととなる。しかし、真犯人がいるのが読者に明らかにされる。
それを受けての本書である。ボウラーが恢復しライと相思相愛の仲になる。休暇をしゃれたカントリーホテルで幸福に過ごして帰ると、ライの部屋が荒らされている。事故死した双子の兄の骨壺から遺灰が散乱している。コンピュータ画面には「バイバイローレライ」という言葉が浮かんでいた。
ウィールド部長刑事は売春している少年リーと親しくなり、リーは犯罪情報をウィールドに流すために会うが、ウィールドは父親のような愛情を持ってしまう。
一方パスコーはルートからの一方的な手紙にノイローゼ気味である。そしてルートを調べていくと、連続殺人はルートではないかと疑問がわいてくる。ルートは昔「殺人のすすめ」でパスコーに捕まって刑務所に入ったが、いまは社会復帰して学者になっている。
ディーが犯人とされて終結したワードマン事件に対して、ディーの友人だった作家のチャーリー・ペンは疑問を持っている。警察が真相を隠して決着をつけたとみて、独自の調査をはじめた。友人のドイツ人捜査ジャーナリストに頼むと、彼女はマイラと名乗ってライの隣室に住み、ライと仲良くなる。
こういう個々の動きがうねって最後のクライマックスになだれ込む。エリー・パスコーも娘のロージーも大切な役柄で出演。シャーリー・ノヴェロ刑事もしっかりと脇を固める。
ダルジールは「考えていたんですが」と言い出すパスコーに、「考えるのはよせ。飲むほうにしろ。飲む人間にはすべてがひらけてくる」と言う。このページからひらけるまでだいぶかかったけど。(ハヤカワポケットミステリ 2000円+税)