「クッキング・ママ」シリーズの12作目。7日に書いた「クッキング・ママの遺言書」の前作である。これでこのシリーズすべて読了でなんとなくほっとした。
初夏の午前5時、ゴルディは料理を乗せたワゴンを押して上機嫌でケータリング・イベントセンターに向かう。この建物は廃業したレストランをゴルディが借り受けたもので、昼にはイベントをやることになっている。「ゴルディロックス・ケータリング、まかせて安心プロの味」の盛大な昼食会の予定である。
そこへ向かう途中でゴルディは突然頭を殴られて倒れる。気がついて警察官である夫のトムの携帯電話に連絡するが圏外なので伝言を残し、オペレーターにパトカーをよこすように頼む。次に救急箱の薬で怪我を処置して、友人のマーラに電話する。ワゴンに乗せていたケーキがだめになったので、マーラのために焼いたケーキを代わりに使いたいので持って来てと。マーラが大急ぎでやってきて、二人は建物の中に入ると異常な匂いがする。ネズミが飛び出してきて悲鳴をあげるが、よく見ると大型冷蔵庫の電源が切られていたのだ。元助手に殺鼠剤とねずみ取り、空気清浄スプレーを持ってくるように頼んで、いまできるメニューを考える。そうこうしているところへ、げす野郎の元虐待夫のジョン・リチャードがきて口喧嘩になるという出だし。ここまでだけでもああしんどなのだ。
その後に元夫が拳銃で撃たれて死んだという知らせ。死体のそばにはゴルディの拳銃があり、ゴルディは重要な容疑者にされる。
ここで真犯人を探さないと、息子のアーチのためにもよくないと、いつものようにゴルディの頭よりも体が動き口が動く捜査がはじまる。その上ケータリングの仕事もやりとげつつなので、ストレスがいやが上にも高まる。睡眠不足の頭をエスプレッソコーヒーのお代わりしつつ、ケーキを食べながらカバーする。
元夫の医師ジョン・リチャードは〈頭脳労働者の反社会性人格障害者〉だった。一番の特徴は〈感情がないこと〉。彼は殺されてさえゴルディに迷惑をかけるのである。息子にゴルフを教えると言っていたが、アーチはゴルフのゴの字も知らなかったのがわかる。アーチは口止めされていたのだ。息子そっくりの少年が現れ、義理の弟とわかる。虐待夫はいろんな女に手をだしていたのだ。二人は後に友となる。(集英社文庫 819円)